確定申告に「医療費のお知らせ」はいらない。医療費控除は自分で正しく集計しよう。
前年に医療費を払っている場合、市区町村から「医療費のお知らせ」という紙が届くことがあります。
確定申告で医療費控除を受ける際、この「医療費のお知らせ」は使わなくて大丈夫です。
目次
「医療費のお知らせ」とは?
「医療費のお知らせ」は、前年に支払った医療費の内訳が書かれたもので、だいたい翌年の2月ごろ市区町村から世帯主宛に送られてきます。
僕が受け取ったものには、「国民健康保険事業に対する理解を深めていただくため、医療費をお知らせしています」と書かれています。
つまり、こちらは医療費控除に使えるように、わざわざ市区町村が作ってくれているわけではありません。
もちろん、「医療費のお知らせ」を確定申告書に添付して医療費控除を受けることはできます。
しかし、「医療費のお知らせ」を使うことには次のようなデメリットがあります。
「医療費のお知らせ」を医療費控除に使うデメリット
すべての医療費が載っているわけではない
「医療費のお知らせ」に書かれている医療費は、基本的に前年の1〜10月に受診したものになります。
つまり、11月以降に病院にかかった分は載ってこないのです。
また、1〜10月に受診していたとしても、載ってこないものもあります。
たとえば、自由診療や、通知書の発送までに間に合わないものなどです。
もしこのお知らせに漏れているものは、自分で領収書から拾わないといけません。
僕も去年はそれなりに病院にかかり、トータルで30万円以上払っていますが、実際に「お知らせ」に記載があったのはたったの2万円程度でした。
薬代・交通費は自分で集計しなければならない
医療費控除の対象となる医療費には、治療のための薬代や、通院のための電車代・バス代なども含まれます。
これらは「医療費のお知らせ」には載ってきませんので、これらも医療費控除の対象としたい場合には自分で集計する必要があります。
保険金や高額療養費で補填された金額はわからない
入院保険を払っていて、入院・手術などした場合には保険が下りる場合があります。
また、市区町村から高額療養費が支給されることもあります。
これらの医療費を補填する金額は、医療費控除の際、医療費からマイナスしなければなりません。
こちらも、「お知らせ」には載ってきませんので、自分で金額を確認する必要があります。
参考までに、医療費控除の具体的な計算方法はこちらに書いています。
電子申告する場合にも別送が必要
医療費控除を適用する際、「医療費の明細書」を確定申告書に添付する代わりに「医療費のお知らせ」の合計額を使う場合には、電子申告する場合であっても、別途「お知らせ」の郵送が必要になります。(電子データがある場合など一定の場合以外)
せっかくネットで提出できるのに、紙1枚だけわざわざ郵送しなければならないのであれば、電子申告の意味がありません。
もちろん、「医療費のお知らせ」に書かれている医療費を自分で明細書に入力すれば提出は不要ですが、それなら最初から領収書を入力したほうが漏れがありません。
市区町村によっては、そもそも医療費控除に使えない
市区町村によっては「このお知らせは確定申告に使うことができません」といった記載がある場合があります。
その場合には、「お知らせ」に書かれている内容が要件を満たしておらず、確定申告に使えない場合があります。この場合も、自分で領収書を集計しなければなりません。
詳しい要件などはこちらに書かれています。
医療費は自分で集計しよう
一見、「医療費のお知らせ」は便利そうですが、このように「医療費のお知らせ」を使って医療費控除を受けるのはデメリットが多く、返って面倒な場合があります。
11〜12月分は自分で集計しなければいけませんし、10月以前のものについても、漏れがないかいちいち領収書と照らし合わせなければなりません。
薬・交通費・保険金・高額療養費なども結局は自分で集計しなければなりませんので、最初からすべて自分で集計すると決めてしまった方がシンプルですし、結果として早く終わります。
医療費の集計は確定申告のときにまとめてやっても良いのですが、フリーランスやひとり社長など事業をやっている方であれば、日々のレシートと一緒に経理してしまった方が楽です。
僕も医療費を払った翌日にレシートをExcelに入力し、確定申告の際にピボットテーブルで集計しています。
余談ですが、会社員の方でも、毎日家計簿をつけると日々お金の状況がリアルタイムに把握でき、お金の使い方も上手くなるといったメリットがあります。
領収書を捨ててしまった場合などやむを得ない場合以外は、自分で領収書を集計して医療費控除を受ける方がおすすめです。
※当記事の内容は執筆時現在の法令等に基づいております。改正や個別の案件等には対応していない場合がございますので、ご注意ください。
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Postscript執筆後記
今日は自分の確定申告の送信と、お客様の法人成りシミュレーションなど。パラレルズデスクトップの確定申告書作成コーナーでは第四世代電子証明書が使えないため、古いWindowsパソコンを設定してInternet Explorer 11から送信してみました。
e-Taxソフトからも送れるのですが、手間としてはどっちもどっちというところ。
来年はMacのChromeやSafariからも第四世代電子証明書で送れるようにしてほしいです。
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