税理士試験の科目選択。実務・興味・組み合わせ・受かりやすさなど。
税理士試験の受験科目をどう選ぶか。
なかなか難しい問題ですが、自分の経験を踏まえてその考え方を書いてみます。
目次
難易度・受かりやすさ
税理士試験の科目は全部で11科目。
その中で、簿記論・財務諸表論が必須、法人税法・所得税法のどちらかは必須、残る2科目は残りの中からどれを選んでも良く(ただし、消費税法と酒税法、住民税と事業税はどちらかしか選択できません)、全部で5科目受かれば合格です。
1科目1科目がとても重たいので、どの科目を選ぶかは重要です。
その基準のひとつが、難易度、いわゆる受かりやすさです。
ただ、何を持って「受かりやすい」と言えるかは、また難しい問題です。
去年の科目毎の合格率は以下のようになっています。(国税庁HPより)
しかし、この合格率の高低だけで受かりやすい・受かりにくいとは言えないでしょう。
合格率は年によっても大きく変動しますので、あまり参考にはなりません。
受かりやすさを検討する上で、僕は以下のようなことを考えていました。
受験生の人数
個人的には、受験生が多い科目の方が受かりやすいと思っています。
去年、受験生が一番少ない事業税は、受験生が335人なのに対し、合格者数は44人です。
同じような合格率だったとしても、僕はこの44人に入るのはなかなか厳しいのではと思います。
合格者数が少ない科目は満点勝負なことが多く、ミスが許されません。
しかしどんなに訓練しても本番でミスをゼロにすることは難しく、僕は受かった科目でもだいたい2、3個はミスしています。
もちろんミスはゼロになるように勉強すべきなのですが、仮にノーミスじゃなくても合格できるかどうかを考え、僕はミニ税法は選択肢から外していました。
受験生の層
簿記論・財務諸表論・国税徴収法などは、全科目の中では比較的受験生全体のモチベーション・レベルが低い方だと思います。
なぜなら、初めて税理士試験を受ける人も多く、税理士試験の大変さを身にしみてわかっている人が少ないからです。
なんとなく始めてみた人や、趣味みたいな感じで勉強している年配の方、遊んでばかりで勉強していない学生(かつての僕)など、いわゆる「記念受験組」が多いのもこれらの科目です。
まだ自分の勉強リズム・やり方を確立している受験生も少なめです。
簿記論・財務諸表論はどちらにしても受からなければなりませんが、僕はこの「受験生の層」という観点から最後の受験科目として国税徴収法を選びました。
逆に、相続税法などは、税理士試験をすでに何年も勉強しているベテランが多く、受験生も比較的モチベーションが高い方が多いイメージです。
そういう意味では、受かりにくい科目と言えます。
「敵が弱いところで戦う」というのも、有効な戦略でしょう。
問題の質・問題との相性
簿記論・財務諸表論・消費税法などは、年や試験委員によってそこまで問題の形式・傾向は変わらないかと思います。
一方、法人税法の計算などは、試験委員によってガラっと形式や傾向・難易度が変わりやすいと言えます。
傾向が安定している科目を選ぶというのもひとつの手かもしれません。
また、全体的な問題の出され方や、解答の分量も重要かと思います。
例えば、相続税は理論・計算ともに書く量が膨大です。
僕は左利きということもあり、字を綺麗に早く書くのが苦手です。(手書き自体が受験生の頃から苦痛でした…)
もちろん、考えるスピードを上げれば書くスピードはそこまで問題にならないかもしれませんが、大量に書くのは不利だと思い、相続税法は諦めました。
一方、国税徴収法は問題の量・書く量ともに少なめで、スピード勝負よりもじっくり考えるのが好きな人の方が向いていると思います。
そういう意味でも、僕は国税徴収法にして良かったと思います。
科目同士の相性・組み合わせ
すでに勉強している科目や、一緒に勉強している科目との相性で選ぶのもありかと思います。
例えば、法人税と所得税では、似たような法律が多いです。
同時に勉強するのはボリューム的に大変ですが、すでに片方受かっていれば、もう片方も頭には入りやすいかと思います。
法人税と事業税、所得税と住民税もそれぞれ関連している部分があるので相性は良いと言われています。
実務での有用性
良くおすすめされる選び方が、実務で使えるかどうか。
税理士事務所に就職したときに、やはり良く使うものとしては法人税・消費税・所得税あたりが挙げられます。
相続や資産税専門の税理士法人なら相続税を勉強していれば役には立つでしょう。
逆に、酒税法や国税徴収法あたりは実務で出てくることは少ないです。(最近だとコロナで期限延長とか、納税が困難な方も多いので意外と国税徴収法は役に立ったりもしますが)
明確に行きたい事務所、やりたい分野などがあればそれに役立つ科目を選ぶのも手です。
やはり法人税は受験経験があったり、合格していると就職・転職で有利になることも多いです。
ただ、もし最短で独立を目指している場合、あまり実務での有用性は意識しなくても良いかなと思います。
なぜなら、独立するとある程度仕事を選ぶことができますし、独立当初は時間があるので実際にその仕事をしながら勉強することができます。
わからないことがあっても、人に聞いたり、本を読んだり、セミナーやコンサルティングを受けて得意な方から学ぶことで解決できます。
実際、僕は相続税・所得税は独立してからの方が経験していますし、勉強もしています。
興味
個人的に、一番受かりやすいのが「興味があるか」、つまり、勉強していて面白いと思えるかどうかで選ぶ方法だと思います。
僕は税理士試験の勉強自体が嫌でたまらなかったので、当時はこの選び方はできませんでした。
もし勉強自体が好き、税法が好きという方であれば、面白いものを選ぶのが吸収も早く、「試験のために仕方なく勉強している」という苦痛が少ないかと思います。
実際に実務をやっていればイメージも湧きやすいので、面白いと思えるものがあればそれを選ぶのが良いと思います。
今なら、相続税、所得税、住民税、事業税は勉強したいなと思います。
それぞれの置かれた状況により、選び方も変わってくると思いますが、少しでも参考になれば幸いです。
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Postscript執筆後記
今日はとある用事があり、受験生時代に通っていた予備校の近くまで行ってきました。色々と懐かしかったり、変わっていたりして面白かったです。
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