開業初年度でもできる簡単な節税。青色申告、開業費、払ったものを経費にする。
開業初年度は設備投資などが先行し、大きく利益が出ることはまれかと思います。
その分、税金もそこまで心配する必要はないのですが、売上が少なく、資金繰りが厳しいのも事実。
少しでも節税できるなら、節税したいですよね。
開業した年度でも簡単にできる節税方法についてまとめてみました。
目次
青色申告
白色申告の場合、きちんとした帳簿を作らなくても良いので手間は少ないのですが、税金を減らしたいなら青色申告にしましょう。
青色申告のメリットは色々あるのですが、「開業初年度でも簡単にできる節税」という点では、「青色申告特別控除」「30万円未満の資産の一括経費化」が大きなものになります。
青色申告特別控除
こちらは個人事業主(フリーランス)のみとなりますが、青色申告にすると、65万、55万、又は10万円の所得控除が受けられます。
事業所得の場合、55万又は65万が利益からマイナスでき、マイナスした金額×税率分が節税額となります。
30万未満の資産を一度に経費にできる
こちらは個人でも法人でも使える特典です。
原則的には、10万円以上のモノを買った場合、1年で経費にすることはできず、減価償却といった方法で数年に渡って経費にします。
これが、青色申告にした場合、買ったその年に全額経費にすることができるのです。
例えば、25万のパソコンを買った場合、本来なら4年かけて経費にしなくてはなりません。
青色申告の場合、1年で経費にできるので、(25万-本来の初年度の償却費)×税率分がその年の節税額となります。
青色申告の要件
青色申告にするための要件は、
- 青色申告承認申請書を提出
- 会計ソフトに取引を入力する
- 期限内に確定申告書を提出する
となります。
まず、「青色申告承認申請書」の提出ですが、これは国税庁のHPからダウンロードして郵送で提出すればOKです。
提出期限が短いので注意しましょう。
法人の場合、設立日から3ヶ月以内、個人の場合は開業から2ヶ月以内(その年の1月15日までに開業した場合は、その年の3月15日まで。)です。
次に、「会計ソフトに取引を入力」ですが、こちらは厳密にいうと「複式簿記」というやり方で帳簿を作らなければいけない、ということです。
複式簿記さえしていれば会計ソフトに入力しなくても良いのですが、これを紙でやったりExcelで作ったりするのは現実的ではありませんので、会計ソフトを買ってしまうのが手っ取り早いです。
この記事を書いている現在では、マネーフォワードがおすすめです。
無料で試せる経理・会計ソフト「マネーフォワード クラウド会計」
(他には弥生会計、freeeなど、青色申告の要件としては何でも大丈夫です。)
最後に、「期限内に提出」ですが、青色申告承認申請書を提出していても、確定申告書の提出が、期限(3/15)を1日でも過ぎてしまうと青色申告の特典が受けられなくなってしまいます。
また、
- 紙で出す場合→55万控除
- e-tax(国税庁が提供している電子申告のシステム)で提出→65万控除
となります。65万控除を受ける場合には、マイナンバーカードやカードリーダーが必要になりますので、早めに準備をしておきましょう。
開業費
開業費とは、開業前にかかった経費です。(法人の場合は、法人設立後、営業開始日前までにかかった費用。)
「開業前にかかった費用でも経費にできる」というのは知っている方も多いと思いますが、注意をしないと会計ソフト上、経費になっていない可能性があります。
多くの会計ソフトでは、「開業費」という科目を使うと、「貸借対照表」の「資産の部」の一番下の方「繰延資産」というところに載っているかと思います。こちらは「資産」なので、実はこのままでは費用になっていないのです。
これを費用にするには、自分で仕訳を切る必要があります。(科目は「開業費償却」「繰延資産償却」など、内容がわかれば可。)
もし開業初年度の経費にしたい場合には、確認してみてください。
ちなみに、この開業費は費用にしないで翌年以降に繰り越すことができます。繰り越した場合、いつの年の経費としてもOKです。
ですので、開業した年の資金繰りが厳しければ、全額開業した年の経費としても良いのですが、2年目以降の方が利益が見込まれるのであれば、翌年以降にとっておいて、利益が出た年に経費とする方が節税額は大きくなります。
開業年度に経費化するかどうかは、慎重に判断した方が良いですね。
払ったものをきちんと経費にする
「払ったものを経費にする」と聞くと、「そんなの当たり前じゃない?」と思われるかもしれませんが、会計の原則としては、払ったからといってその年の経費にできるわけではありません。
基本的には、発生主義といって、その年にすでにサービスを受けている分だけ経費にできます。
例えば、家賃などは前払いのことが多いかと思いますが、2021年1月分の家賃を2020年12月中に払ったとします。この場合、原則では、この家賃は「来年1月のオフィスの使用」というサービスに対応するものなので、来年の経費になります(今年の経費にはできません。)。
しかし、全ての経費についてこれを厳密に適用していると事業者も国も大変なので、「1年以内にサービスを受けるものに関しては、払ったときに経費にしても良いよ」という法律があります。
例えば、バーチャルオフィスの家賃を年間一括で払った場合には、原則では来年の1月以降の分は経費にできないのですが、この特例を使えば、今年中に1年分払っている場合、すべて今年の経費にできます。
保険料、ツールの使用料などでも同じ扱いになりますので、これは結構大きいです。
ただ、大きな注意点がひとつあります。
それは、「今年一括経費計上したら、来年以降も払ったときに一括経費にしてね」というものです。
「今年は1年分経費にしたけど、来年は利益が少ないから原則の期間対応でやろう」とか、「数カ月分だけ経費にしよう」といったことは認めれないのです。一度やってしまうと、その後も毎年同じやり方で経費にしないといけません。
こちらも、使う場合には慎重に判断してください。
ちなみに、個人でも法人でもこちらは使えます。
難しいことをしなくても、これらを考えるだけで開業年度でも節税が可能です。
特に、青色申告については金額も大きいので、開業したばかりのフリーランスの方はぜひ検討してみてください。