ひとり社長の役員報酬はいくらにすれば良いのでしょうか。

役員報酬の金額を決めるに当たり、考えるべきことをまとめてみました。

目次

いくら必要か

まずは自分が生活していくのにいくら必要かを考えてみます。

生活費が20万円なら20万、30万円なら30万。

個人事業主の場合は売上から経費を引いた残りがそのまますべて個人のお金ですが、法人の場合は利益は法人のお金です。

ここから生活費として使うには、役員報酬として引き出すしかありません。(生活費は経費にならないので)

仮に、生活費が20万円なのに役員報酬が10万だとすると、生活費が10万円足りません。

この10万円も会社から引き出すとなると、会社から社長への貸付金となってしまいます。(役員貸付金・社長貸付金)

基本的にはこの貸付金については利息を取らなければなりません。

(年利1.5〜2%ほど)

利息は会社の収益となり、税金がかかってきてしまうのです。

また、社長への貸付金が決算書に載っていると、銀行などからお金を借りるときにもイメージが良くありません。

貸付とならないように、まずは生活費を考えて役員報酬の金額を検討してみましょう。

役員報酬の金額で影響があるもの

役員報酬は次のものに影響してきます。

法人税

役員報酬は会社の経費となります。

利益を圧縮し、その分税金を減らすことができるものです。

法人税は利益により25〜35%程度ですので、年間の役員報酬×税率分の法人税が安くなります。

役員報酬を増やせば増やすほど、会社の利益は小さくなります。

 

役員報酬は期首から3ヶ月以内に決める必要がありますが、思ったより利益が出なかった場合、最終的に赤字となる可能性もあります。

法人の場合、赤字は10年繰り越すことができます。

赤字になっても問題はないと言えますが、銀行からお金を借りる予定がある場合や、社宅を借りる場合は黒字にしておいた方が良いです。

利益をどれくらい出したいかによっても役員報酬の金額は変わってきます。

所得税

役員報酬は、会社員の方がもらう給料とまったく同じですので、所得税がかかってきます。

「法人税を払いたくないから役員報酬を増やそう」と考えると、法人税が減った分、今度は所得税が増えます。

所得税は所得に応じて5〜45%です。

役員報酬にかかる所得税も考えて役員報酬の金額を決めないと、実はトータルでみると税金的に損をしていた、ということになりかねません。

 

また、役員報酬以外に所得がない場合、役員報酬の金額がそのまま社長の収入となります。

仮に事故で補償を受けるときや何かローンなどを組む場合、役員報酬を下げすぎて所得が低いと不利になることもありますので注意が必要です。

住民税

役員報酬にかかってくるのは所得税だけではありません。

住民税も所得税とセットでかかってきます。

住民税の税率は一律10%のため、所得税よりも高いということはよくあります。

所得税+住民税で15〜55%となりますので、こちらが法人税率を超えないところで役員報酬を設定するというのもひとつの考え方です。

社会保険

意外と忘れがちなのが社会保険です。

ひとり社長の場合、社会保険(健康保険+厚生年金)は役員報酬の金額によって決まります。

社会保険は、役員報酬を上げれば上げるほど上がってしまいます。(上限はあります。)

役員報酬の金額によっては、「税金よりも社会保険の方が全然高い」といったことも珍しくありません。

社会保険料ができるだけ安くなるように役員報酬の金額を決めるという考え方もできます。

 

余談ですが、個人事業主(フリーランスの場合)は給料がないため、所得(事業の利益)によって社会保険の金額が決まります。

儲かれば儲かるほど社会保険の金額も上がってしまい、自分でコントロールできないという欠点があります。

その点、法人は儲かっているかどうかにかかわらず役員報酬の金額で社会保険が決まります。

社会保険の金額を抑えるために、フリーランスは早めに法人化してしまうのもひとつの手です。

退職金

事業を始めたばかりのときはあまり考える必要はありませんが、退職金は退職直前の役員報酬の金額により、いくら出せるかが変わってきます。

 

事業をたたむのを考える頃になったら、役員報酬は下げすぎない方が良いでしょう。

シミュレーションして決める

このように、色々なところに影響がある役員報酬ですが、結局のところどうやって決めれば良いのでしょうか。

ひとり社長にとっては、会社のお金も個人のお金もすべて自分のお金です。

トータルの支出を抑えるという観点では、法人税+所得税+住民税+社会保険の金額を試算し、合計額が一番少なくなるところで設定するというのがひとつの答えになります。

シミュレーションしてみた例についてはこちらに書いています。

 

もちろん、冒頭に書いた生活費の問題もありますし、利益を出すか出さないか、出すとしたらどれくらい出すのかといったことも考えなければなりません。

意外と難しい役員報酬ですが、最適な金額を決めていただければと思います。

当事務所では、役員報酬の設定や、法人成りした場合のシミュレーションについても承っております。

 

 

当記事の内容は執筆時現在の法令等に基づいております。改正や個別の案件等には対応していない場合がございますので、ご注意ください。

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Postscript執筆後記

ネットで久しぶりに買った時計が届いたので、今日はこれから開封の儀。
またそのうちレビューします。

Something New一日一新

google meetでiPhoneをカメラに
とある時計購入

\本を出版しました/

Seiji Aihara / 相原 征爾

Seiji Aihara / 相原 征爾

『独立は最強の解決法』という理念のもと、長期的な視野と絶妙なバランス感覚で人生を楽しむことをサポートする、ひとりビジネス専門税理士。ひとり社長。

得意な仕事はクラウド会計の導入・ペーパーレス化・経理業務効率化・各種シミュレーション・独立支援など。
遠方・オンライン・スポット対応可能です。
簿記がわからなくても、一から経理ができるようにお伝えします。
Windows・Mac両対応。

音楽、映画、インターネット、カレー、クラフトビールが大好き。
名刺、ロゴ、WordPressテーマ、本の表紙から音楽まで自作する、自称超クリエイティブ。

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著書 『知識・経験ゼロでも独立して人生を楽しむ方法』