源泉税の仕訳・支払いを効率化し、残高が正しいかチェックする方法。
毎月発生する源泉所得税の天引き、支払い、仕訳業務。
これらを効率化し、正しく行う方法をまとめてみました。
目次
源泉税の仕訳を効率化
源泉税に関する仕訳が出てくるのは、源泉税を天引きしたときと払ったときです。
それぞれの仕訳は以下のように考えます。
源泉税を天引きしたとき
給料に関して源泉税を天引きするのは、給料を払ったときです。
しかしながら、給与計算ソフトから会計ソフトに仕訳を連動させているようなケースでは、給料を計上した時点で源泉税(預り金)も計上してしまうことが多いでしょう。
この場合は、自動で天引きの仕訳が計上されることになりますので、特に何もする必要はありません。
(給料を支払う人数が多い場合は、やはりソフトを使って仕訳を連携させるのがおすすめです)
一方、給与計算ソフトを使っていない場合や、使っていても仕訳連携をしていない場合はご自身で仕訳を入れる必要があります。
ひとり社長であれば、基本的に1年間給料の金額は変わりませんので、以下のような仕訳を一年分先に入れてしまうのがおすすめです。
(当月分当月払いとし、社会保険等は省略)
借方 | 貸方 |
---|---|
給料手当 | 未払費用 |
預り金 |
次に、外注費(業務委託料)や士業の報酬などですが、サービスを受けたときに
借方 | 貸方 |
---|---|
外注費(支払手数料、支払報酬) | 未払金 |
という仕訳をし、実際に払ったときに
借方 | 貸方 |
---|---|
未払金 | 普通預金 |
預り金 |
という仕訳をします。
このとき、会計ソフトを使っていても「預り金」の部分の仕訳は自動で入ってきません。
預金を連動して出てくる仕訳は、あくまで実際に預金から払った金額だけだからです。
(例:報酬165,000円、源泉15,315円の場合、連携されて自動で入ってくるのは差額の149,685円)
預り金の部分は仕訳を登録する際、または登録した後で手動で修正する必要があります。
数がそんなに多くなければ手入力で複合仕訳の形にしてしまうのが一番速いかと思いますが、取引数が多いときはExcelで源泉部分だけの仕訳を作り、csvでインポートするのがおすすめです。
なお、源泉税は「預り金」で一緒くたにしてしまうと後述する残高チェックがやりづらくなります。
「預り金(給与源泉)」といったように補助科目を使うか、「給与源泉預り金」のような勘定科目を作ってしまう方がわかりやすいです。
源泉税を払ったとき
源泉税を払ったときは、給料の場合も、外注費や士業の報酬の場合も
借方 | 貸方 |
---|---|
預り金 | 普通預金 |
となります。
会計ソフトに預金を連携しておけば特に問題はないかと思います。
ただ、給料の源泉なのか外注費の源泉なのかは会計ソフトは判断してくれません。
補助科目や勘定科目を分ける場合は手動で修正が必要になります。
(やはり会計ソフトが全自動で正しく仕訳をしてくれるというは今のところ非現実的です)
仕訳は会計ソフトへの連携とcsvインポートを上手く使い分けるのがポイントです。
源泉税の支払いを効率化
源泉税の集計を効率化
仕訳が正しく入っていれば、払うべき源泉税の金額はすぐにわかります。
ただ、実際に払う時には人数や給料・報酬の金額も必要になります。
データをExcelにしておいた方が便利です。
Excelにまとめておけば、法定調書合計表や支払調書を作成する際にも使えます。
Excelの作り方はこちらで解説していますので、参考にしていただければと思います。
Excelは数が少なければ手入力でも問題ありませんが、人数が多い場合は会計ソフトからエクスポートしたデータから集計する仕組みを作っておくと良いでしょう。
源泉税の払いを効率化
源泉税はネットで払うことができます。
納付書で払っている場合は、今月からでもインターネットバンキングかクレジットカードで払うようにしましょう。
毎月わざわざ銀行に出向くのは時間がもったいないです。(経理担当者の場合、外に出られて息抜きになるという事情もあるかもしれませんが…)
ネットで払うには、e-Taxという国税庁のシステムを使います。
初めて使うときには手続きが必要です。
この辺りの一連の流れはこちらで解説しています。
e-Taxで払うだけでも十分効率化になりますが、RPAを使えばさらに効率化できます。
最初はややハードルが高いですが、いったん仕組みを作ってしまえば膨大な時間の節約になります。
源泉税の残高をチェック
源泉所得税の支払いと仕訳が終わったら、残高が正しいかどうかのチェックをします。
- 毎月支払う給与源泉、外注費の報酬源泉→翌月10日の時点で前月の残高が0
- 半年ごとに支払う給与源泉、士業の報酬源泉(納期の特例)→1〜6月分は7/10、7〜12月分は1/20の時点でそれまでの残高が0
となっていれば、仕訳・集計・支払いが正しくできていると考えられます。
毎月仕訳とチェックをしていかなければ、翌月に正しく集計・支払いをすることができません。
やはり毎月経理をきちんとやっていくことが大切です。
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Postscript執筆後記
今日は最近独立されたキッチンカーのスタッフさんにたまたまお会いすることができました。久しぶりにお話しできて良かったです。