決算って何するの?決算を税理士に頼む前にやるべきこと。
「『決算』という言葉は良く聞くものの、実際何をするのかよくわからない」という方は多いのではないでしょうか。
また、自分の会社が初めての決算を迎える場合、何を準備したら良いか不安ですよね。
ここでは、決算の概要と、決算に向けてやっておくべきことをお伝えします。
目次
決算とは
決算とは、簡単に言ってしまうと会社の1年間の業績を明らかにすることです。
1年間の利益を計算して決算書・申告書を作成し、税務署へ提出するとともに、税金も支払います。
決算書は一般的な会計ソフトで作ることができます。
申告書は専用の税務ソフトを使うか、税務署から配布される紙の申告書に手書きして作成します。
税理士に頼めば、提出は基本的にネットでやってくれます。
なお、決算書・申告書の提出期限は、期末から2ヶ月後です。
たとえば、6月決算の会社であれば、8/31(その日が土日祝日に当たるときは、その翌日)が申告期限となります。(税金もこの日までに払います。)
決算は自分でできるのか
決算は自分でもできるのでしょうか。
ひとりでやっているような小規模の会社なら、できないことはありません。
複雑な税金の計算が出てくる可能性が低いからです。
とはいえ、専門的なことを自分でやろうとすると間違う可能性は高くなります。
間違えてしまうと、修正申告や更正の請求といって、税金を追加で払ったり、払いすぎた場合は返してもらう手続きが必要です。
場合によっては、ペナルティが課される場合もあります。
間違いとまでいかなくても、お得な節税方法を知らなかったために、無駄に税金を払うことになるおそれもあります。
個人事業主であれば、確定申告はご自身でされる方も多いです。
一方、法人税の申告書は作りが複雑で、なかなか一般の方が自分でやるにはハードルが高いのが現実です。
普段の経理はご自身でされていても、決算書・申告書の作成は税理士にお願いするのが一般的ではあります。
どうしても自分でやってみたいのであれば、こちらの本が参考になります。
普段の経理の仕方から、申告書の作成方法まで平易な言葉でわかりやすく書かれています。(最新の改正が反映されていない部分もありますので注意してください)
また、自分で作った申告書のチェックだけを税理士にお願いしたり、申告書の作り方を教えてもらうという方法もあります。
僕も、税務コンサルティングで承っております。
決算を税理士に頼む前にやっておいた方が良いこと
早めに一度相談する
決算を税理士に頼んだほうが良いかどうかご自身ではわからないと思いますので、まずは一度税理士に相談してみましょう。
費用や流れ、チェックのみも可能かどうかなど、不明点はつぶしておきたいところです。
税理士にコンタクトを取るのは、期末の2ヶ月前くらいまでが理想です。
期末ぎりぎりになってしまったり、決算月を過ぎると節税などはほとんどできることがありません。
また、申告期限までに日にちが迫っている場合、料金が高くなる可能性もあります。
税理士側も、余裕があれば色々検討して最善の処理ができるものですが、時間がなければできることは限られてしまいます。
できるだけ早めに一度連絡してみましょう。
資料を揃えておく
決算では主に以下のような資料が必要になります。
必ずしもすべて提出するわけではありませんが、これらをいつでも出せるように準備しておきましょう。
銀行口座の残高
期末時点の残高が記帳された通帳、またはネットバンクの残高がわかるページのスクリーンショットを撮っておきましょう。
(紙の通帳を税理士に渡す場合は、売掛金などの入金確認のため、期末の1ヶ月半くらい先までを記帳しておいた方が良いです。)
領収書・請求書類
こちらは普段から整理・保管しておけば大丈夫です。
領収書が出ないものは、ネットからダウンロードしたものやメールをPDFにしたものなどをデータで保存しておきましょう。
在庫表
仕入れがあれば、当期末に残っている在庫の棚卸しをして一覧にしておきます。
株主・取引先の情報
期末時点の株主名簿(氏名・持ち株数・出資金額・住所などを記載したもの)を作っておきます。
また、「勘定科目内訳明細書」という書類に取引先の氏名・名称・住所などの記載が必要になることがあります。
領収書や請求書に記載があれば、それで大丈夫です。
賃金台帳・給与明細
こちらも内訳書の作成に必要になったり、預り金の残高確認に使います。
会計ソフトの残高を合わせる
資料が揃ったら、会計ソフトの数字が概ね正しいかどうか確認します。
税理士に頼んだ場合も、どのみち一緒に確認を求められます。
先にやっておけばスムーズに決算が終わります。
まずは貸借対照表(B/S)科目を見ていきます。
B/S科目が合えば、自然と利益は正しくなりますので、損益計算書(P/L)科目はそこまで気にしなくてOKです。
預金
通帳やネットバンクと照らし合わせて、会計ソフトの期末残高が実際残高と一致しているか確認します。
売掛金
期末締めで翌月以降に入金がある売上については、今期の売上として計上する必要があります。
こちらは税務調査でも良く指摘される項目ですので、念入りにチェックしましょう。
在庫
前述通り、棚卸しをして在庫表を作ります。
在庫の金額は当期の仕入れから除きます。
前払金・前払費用
先払いをした経費で、まだサービスの提供を受けていないものは前払金または前払費用として処理します。(原則として当期の経費にはできません。一定の要件を満たせば可)
貸付金
貸しているお金があれば、会計ソフト上の残高が実際残高と同じか確認します。
なお、貸付金は原則として利息を取らなければなりませんので、可能なものは期末までに返済してもらった方が良いでしょう。
借入金
こちらも残高が正しいか確認します。
金融機関からの借入金は、金融機関から送られてくる返済表の期末時点の残高と、会計ソフトの残高が合っているかチェックします。
買掛金・未払金
仕入れや経費で、すでに買ったものは未払いでも今期の経費にすることができます。
取引先からの請求書を見て入れていきましょう。
クレジットカードで買ったものは、クレジットカードを会計ソフトに連携していれば、自動で買った日付で入ってきますので便利です。
預り金
給料から天引きしている源泉所得税や住民税、外注さんから預かっている源泉所得税の残高が理論値になっているか確認します。
- 毎月納付のものであれば、今月預かって決算月の翌月10日に払う分
- 半期に一回(納期の特例)のものであれば、前回払ったあとから期末までの分
が会計ソフト上きちんと残っていればOKです。
資本金・資本準備金
期中に増資をしている場合は、謄本や株主名簿を見て残高が合っているか確認します。
消費税区分
消費税の課税事業者であれば、消費税区分も確認します。
消費税区分ではP/L項目もチェックが必要です。
- 10%なのに8%になっていないか
- 対象外なのに課税になっていないか
- 非課税売上なのに課税売上げになっていないか
など、科目ごとにひとつひとつ確認していきます。
どの会計ソフトにも「消費税区分別集計表」といったような項目がありますので、こちらを使えば大まかなチェックはできます。
ここまできちんと準備できていれば、問題なく決算を迎えることができるはずです。
なお、日頃からきちんと経理・毎月のチェックをやっていれば、年一回の決算でもやることは普段どおりです。
できる限り日頃から経理をする習慣をつけていきましょう。
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Postscript執筆後記
今日は風邪のせいでなかなかやる気が出なかったものの、午前中は決算、夕方から何とかブログを書き始め、無事終わらせることができました。やはり体調はメンタルにも影響しますね…