【消費税】フリーランス・ひとり社長が簡易課税制度を選択するときの注意点。
小規模の事業者にとって、消費税の計算が有利になる可能性がある簡易課税制度。
フリーランス・ひとり社長が簡易課税制度を選択する際の注意点についてまとめました。
目次
事前に届出が必要
簡易課税制度を選択しようとするときは、簡易課税により計算しようとする期間が始まる前までに「消費税簡易課税制度選択届出書」という書類を提出しなければなりません。
たとえば、3月決算の法人が、2022年4月から簡易課税制度で計算する場合には、2022年3月31日までに届出書を提出する必要があります。
ただし、その簡易課税で計算しようとする期間が事業を開始した期間である場合には、その期が終わるまでに提出すれば大丈夫です。
2021年4月に開業した個人事業主が、その年から簡易課税を選択する場合には、2021年12月31日までに出せば良いことになります。(普通は初年度は免税事業者ですが、課税事業者を選択した場合など)
2年前の課税売上高が5,000万円以下である必要あり
簡易課税制度を選択できるのは、2年前(法人であれば2期前)の年間課税売上高が5,000万円以下の事業者に限られます。
1,2期目は2年前の売上がゼロということになりますので、もちろん簡易課税は選択できます。
また、2期前が1年未満の法人については、課税売上高を年換算した金額で判定します。(個人の場合は、年の途中で開業した場合でも年換算はしません。)
年間課税売上は、2年前が課税事業者なら「税抜き」、免税事業者だった場合は、「税込み」で判定するので注意が必要です。
ちなみに、一時的に売上が5,000万円を超えてしまい、簡易課税を選択できなくなったとしても、次の年に5,000万円以下になった場合には、自動的にまた簡易課税となります。
改めて選択の届出を出す必要はありません。
2年間は計算方法を変更できない
簡易課税を一度選択した場合は、2年間は計算方法を変更することはできません。
もし原則の計算方法に戻したいときは、「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」という書類を提出します。
こちらも、選択の届出のときと同じく事前提出になります。(簡易課税を選択してから2期目の初日以降提出することができます。)
たとえば、1,2期目で簡易課税で計算し、3期目から原則に戻したい場合は、2期目の最終日までに提出する必要があります。
一定の資産を買っていると適用できない場合がある
一定の資産を買った期から3年間は、簡易課税を適用することができません。
ただし、事業を開始したときから簡易課税を選択している場合や、すでに簡易課税が適用されている期間中に一定の資産を買った場合は大丈夫です。
「一定の資産」は、主に2種類あります。
一つは、「調整対象固定資産」と呼ばれるものです。
棚卸資産以外の資産で、建物、特許権などの固定資産のうち、税抜金額が100万円以上のものを言います。
土地などの非課税資産は対象外です。
固定資産には「無形固定資産」も含まれます。
この100万円以上となるかどうかの判定は、付随費用は含まない本体価格で、かつ通常1単位として取引される単位ごとに行います。
基本的には単価と考えていただければ。
もうひとつは、「高額特定資産」とよばれるものです。
こちらは棚卸資産or調整対象固定資産で、税抜金額が1,000万円以上のものになります。
もちろん、事業用の資産が対象になりますので、自宅の建物などは対象外です。
フリーランス・ひとり社長の場合、100万円以上の高額な資産を買うことは少ないと思いますが、注意したいのはHP作成費用などです。
HPの作成費用は、内容によってはソフトウェアに該当する場合があります。
高機能でデザインが綺麗なサイトだと、100万円以上かかることもあります。
余談ですが、フリーランス・ひとり社長ならHPは自分で作ってみるのがおすすめです。
また、社用車など事業用の車を買う時も100万円以上になるケースは多いと思います。
ちなみに、なぜこのような法律があるかというと、高額の資産を買って消費税の還付を受け、その後、すぐに簡易課税を選択し、その後の期間の納税額を減らすというスキームを使わせないためです。
高額の資産を買う予定があるときは注意しましょう。
いずれにしても、簡易課税を選択しようとするときは、一度税理士に相談してみることをおすすめします。
※当記事の内容は執筆時現在の法令等に基づいております。改正や個別の案件等には対応していない場合がございますので、ご注意ください。
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Postscript執筆後記
昨日は消費税関係の税務コンサルティング。難しい論点が多かった分、自分の勉強にもなりました。
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