【消費税】還付を受けられる課税事業者の選択と、その留意点。
高額の資産を買うときや、海外への売上が大きくなるときは、消費税の課税事業者になることで消費税の還付を受けることができる場合があります。
課税事業者の選択と、その注意点についてまとめてみました。
目次
課税事業者の選択とは?
個人事業者(フリーランス)の開業1,2年目や、法人の設立後1,2期目は原則的には消費税を納める必要はありません。(資本金が1,000万円以上で設立した場合など一定の場合以外)
消費税を納めなくて良いのは良い事づくしのようですが、実は、消費税を納める事業者の場合の方が得なこともあります。
そのひとつが、消費税の還付です。
消費税は、売上にかかる消費税から、経費にかかる消費税を差し引いて計算します。
普通は売上の消費税の方が大きいので、決算・確定申告のときに消費税を納めることになります。
ところが、仮に経費にかかる消費税の方が大きかった場合、
「売上の消費税-経費の消費税」はマイナスとなり、その差額の税金が戻ってきます。
たとえば売上の消費税100円、経費の消費税20円だった場合、納税額は80円ですが、
売上の消費税100円、経費の消費税120円だった場合、20円が還付となります。
この還付額が大きい場合には、免税事業者の期間であっても、あえて課税事業者となった方が得である可能性もあります。
このあえて課税事業者となることを、「課税事業者の選択」と言います。
還付になるケースとしては、
- 建物・機械装置・ソフトウェア・車など高額の資産(土地などの非課税資産以外)を買ったとき
- 輸出売上や課税対象外の売上が多いものの、経費は国内の課税仕入が多いとき
などが考えられます。
事前の届出が必要
課税事業者を選択するときは、課税事業者選択届出書という書類を提出する必要があります。
期限は、課税事業者になろうとする期間が始まる前までです。
2期目から課税事業者になりたい場合は、1期目の最終日までに提出します。
ただし、1期目から課税事業者を選択する場合には、1期目が終わるまでに提出すれば大丈夫です。
課税事業者の選択をやめようとするとき(免税事業者に戻りたいとき)は、課税事業者選択不適用届出書という書類を提出します。
こちらも、免税事業者に戻ろうとする期間が始まる前までに提出する必要があります。
こちらを提出しても、そもそも2年前の売上が1,000万円を超えているときなど、課税事業者の要件を満たしている場合には原則通り課税事業者となります。
選択の留意点
2年経たないと課税事業者をやめられない
課税事業者を選択した場合、課税事業者となってから2年間は免税事業者に戻ることができません。
たとえば、1期目で消費税の還付を受け、2期目は納税額が大きくなりそうだから免税事業者に戻る、といったことはできないようになっています。
課税事業者選択不適用届出書を提出できるのは、「課税事業者となった課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後」とされています。
法人の場合は月の途中設立となる場合がほとんどで、1期目がぴったり12ヶ月になることは少ないです。
そうすると、思った以上に課税事業者の期間が長くなることがあります。
たとえば、2021年4月14日に設立した3月決算の会社が1期目から課税事業者となる場合、「課税事業者となった課税期間の初日から2年を経過する日」は2023年4月13日となり、この期の初日は2023年4月1日です。
つまり、課税事業者選択不適用届出書を提出できるのは早くても3期目の初日以降となり、1,2,3期目の概ね3年間が課税事業者となります。
高額の資産を買ったときは課税事業者をやめられない期間がある
高額の資産を買って消費税の還付を受けようとするときも注意が必要です。
具体的には、課税事業者を選択して課税事業者になってから2年以内に「調整対象固定資産」に該当する資産を買った場合、その資産を買った期間から3年間は免税事業者に戻ることができません。
これは高額の資産を買ってその分の消費税の還付を受け、その後すぐに免税事業者に戻り、消費税の納税を免れるというスキームを排除するためです。
調整対象固定資産については、こちらにざっくり書いていますので、ご覧いただければと思います。
課税事業者選択届出書を出し忘れるのはもったいないですが、不適用届出書の出し忘れでも税金的に損をすることがあります。
また、1期だけ見れば還付となって得である場合でも、長い目で見れば損である可能性もあります。
消費税の課税事業者になろうとするときは、慎重に検討しましょう。
※当記事の内容は執筆時現在の法令等に基づいております。改正や個別の案件等には対応していない場合がございますので、ご注意ください。
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またそのうち記事にします。
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