転職で税理士事務所・税理士法人を退職する時に考えなければいけないこと、注意点などについてまとめてみました。

目次

いつ辞めるか

一番頭を悩ます問題はこれでしょう。 先に転職先が決まった場合には、転職先から内定をもらった時期でだいたい決まってしまいますが、色々な面で自分に有利なようにしたいものです。 いくつか考えるべきポイントを挙げておきます。

転職が決まってから辞めるのか、先に辞めるのか

これは今いる会社の状況や、どれくらい早く辞めたいかにもよります。 先に転職先が決まっていた方が無理な引き止めは少ないでしょう。 辞める理由も「転職します」の一言で済みます。 しかし、転職先がなかなか決まらない場合、退社時期が遅くなってしまうというデメリットはあります。 辞めることを早く会社に言わないと、どんどん新しい仕事、担当先が降ってきてしまいます。 僕の場合は9月に内定をもらい、9月中に会社に退職の意向を伝え、11月末に退社しました。 ただ、8月にはすでに気持ちが固まっており、少しだけ動き始めていました。 しかし、会社には辞めると思われていなかったため、別の退職予定者の担当先が2件くらい降ってきてしまいました。 その結果、退職前に残業時間が増えたり、またすぐに担当変更になることでお客様に迷惑をかけることにもなってしまいました。 先に「辞めたい」と言うのは確かに面倒なことも多いのですが、早めに言ってしまった方が良い場合もあります。 また、先に言うか後に言うかは、どれくらいの気持ちで転職活動をしているかにも左右されるかと思います。 仮に、転職が上手くいかなかったり、他に良い税理士事務所が見つからない場合に、今の会社に残ると言う選択肢もある場合には、転職が決まってから会社に言う方が安心です。 「絶対に辞める」と言うことが決まっていれば、先に退職を決めてしまっても良いでしょう。  

内定の時期がいつか

税理士事務所を辞めるのは、だいたい内定をもらってから1ヶ月半〜3ヶ月くらいが目安だと思います。 幅がありますが、今の仕事量や、転職先がどれくらい待ってくれるかによっても変わってきます。 僕の場合は最初の職場は退職の申し出をしてから1ヶ月半くらい、2つ目の職場が内定をもらってから2ヶ月半くらいでした。 一つ目は辞めてから転職活動をし、2つ目は先に転職先を決めました。 2つ目の職場を退職する時は、2箇所から内定をもらいましたが、どちらの会社も親切で入社日は応相談と言っていただけました。 この時いた会社の雇用契約書に、「退職の際は3ヶ月前までに申し出ること」と言う文言があったため、一応1月入社希望(9月に内定。12月退社希望)の旨を伝えていましたが、結果的に、12月入社になりました。 早く辞めたい場合が多いかと思いますが、職場の事情によってはなかなか難しい場合もあります。 そんな場合でも、面接時にあらかじめ伝えておけば待ってくれることが多いかと思います。  

繁忙期

税理士業界特有の問題が繁忙期です。 これによって、転職時期、退職時期も結構左右されてしまいます。 繁忙期を外すのが無難ですが、税理士試験がちょうど繁忙期が終わった頃に控えているため、税理士試験が終わった後に転職活動をしようと思うとなかなか悩ましい時期になってしまいます。 僕の場合は、一つ目と二つ目の職場が9月入社、3つ目の職場が12月入社でした。 優しい人ほど色々と会社のことも考えてしまいがちですが、正直、自分がいつ辞めていつ入りたいかだけ考えれば良いと思います。 全体的に税理士事務所は6月〜11月が比較的仕事が落ち着いている時期ではあるので、未経験とか経験が少なく、仕事が心配な場合はこの期間に入社できるように退職時期を考えましょう。 繁忙期入社になりそうでも、新しい職場の仕事がそんなに心配でなければ、どちらの職場で繁忙期を過ごしたいか考えれば良いと思います。 仮に繁忙期に入ってしまって、まだ転職が決まっていなければ3月末退社を考えるかもしれませんが、確定申告を今の職場でやりたくなければ、早めに退社を伝えてしまった方が良いです。 僕の場合は、

  • できるだけ早く辞めたい
  • 年末調整も新しい職場の方でやりたい

と考えていたので、12月入社になりました。 転職先が楽しそうなところで、お客様の層や仕事のやり方なども面接時に確認していたので、繁忙期入社でもあまり不安はありませんでした。 新しいところが忙しそうなところであれば、慣れている今の職場で最後の繁忙期を過ごすのもありかと思います。

引き継ぎ

これは事務所の仕事のスタイルによるかと思います。 所長や上司がお客様のことをある程度把握している事務所であれば、1ヶ月くらいあれば十分かと思います。 僕が最初に就職した税理士事務所を辞めた時は、1ヶ月半くらいです。 小さい所で、所長がお客様のことをきちんと把握しているところだったので、引き継ぎはそこまで大変ではありませんでした。 一方、2箇所目の事務所は2ヶ月弱かかりましたが、正直それでも結構きつかったです。 上司や会社がお客様のことをほとんど把握しておらず、担当先が多いこともありましたが、お客様のところに出向いて現地で作業をするスタイルがメインだったので、どうしても引き継ぎ時に後任の人と現地に訪問する必要がありました。 また、現地でやらなければならない作業や、お客様ごとの独特の仕事などがあり、かなり引き継ぎは大変でした。 担当先が多かったり、いわゆる某tkcのような毎月お客様を訪問する“巡回監査”スタイルを取っている税理士事務所は、ある程度の引き継ぎ期間は考えなければなりません。 ただ、引き継ぎを心配して、過度に自分を犠牲にする必要はありません。 そもそも、「引き継ぎ」とはどこまでの仕事が含まれるか曖昧ですし、辞めたら辞めたで結局会社や後任の人がなんとかします。 そもそも、人が辞めるのは多くの場合、会社側に原因がありますし、会社は本来常に人が辞めることは想定しておかなければなりません。 引き継ぎに時間がかかるのは、多くの場合会社に原因があります。 だから、引き継ぎが終わるかどうかはあまり気にしすぎないようにしましょう。 もちろん、いつでも辞められるように、引き継ぎ書やマニュアルはあらかじめ作っておいた方が良いです。

賞与

僕は2つ目の税理士事務所を辞める時は、賞与をもらう前に辞めてしまい、少しもったいなかったとは思っています。 だいたいの会社は賞与が6月〜7月と12月、または3月に1回というところが多いかと思います。 僕の会社も冬季賞与の支給が12月で、退社が11月末でしたので残念ながら賞与はもらえませんでした。 支給対象期間に在籍していたらもらえるのでは?と言う疑問もあるかと思いますが、賞与には“今後の期待”の意味合いもあるため、法律上、支給日に在籍しない社員に対しては払わなくても良いことになっています。 良心的な会社だと在籍していなくても支給されるかもしれませんが、支給日にまだ辞めていないという前提で考えると、賞与をもらって1〜2週間後に退社の意向を伝えるのがベストです。 賞与をもらってから退社の旨を伝えれば、辞めることで賞与が減額されるリスクもありません。 ただ、税理士事務所の場合は、どうしても繁忙期や税理士試験のこともあるので、賞与は諦めた方が良い場合もあります。 試験がすでに終わっていれば、6~7、12、3月の賞与をもらった後に会社に言うのが良いと思います。(12,3月だと2~3月,5月入社になってしまう可能性が高いので悩みどころですが)

有給消化

できれば有給はきちんと消化してから辞めたいものです。 とは言っても、きちんと退職時に有給消化した前例がなかったり、引き継ぎや自分の仕事で忙しく、結局消化できずに辞めてしまうパターンも多いのが現状です。 2箇所目の職場では、本当はきちんと消化したかったのですが、会社(上司)が休ませてくれず、最後は4日くらい残して辞めてしまいました。 一般企業なら今時ありえないことですが、税理士業界はまだまだ古いのでこう言うことがまだ残っているのが現実です。 それでも、この記事を読んでくれている方には、できるだけきちんと有給消化して辞めていただきたいと思っています。 例えば11月末退社なら、最終出勤日は11月20日くらいにしてもらうなどして、有休を最後にまとめて消化するのがベストです。 それができなければ、退職日を伸ばしてもらって少しづつ休むしかありません。 当たり前ですが、辞めてしまった後では権利は消滅してしまいますので、退職届を出す前にきちんと交渉して退職日を決めましょう。 例え繁忙期入社であっても、良心的な転職先なら有休消化期間はきちんと待ってくれるはずです(待ってくれないなら入社すべきではないかもしれません)。

退職日までにすべきこと

ここでは詳細は書きませんが、

  • 会社に返却するもの
  • 持って帰るもの・整理整頓など
  • 諸々の手続き
  • お客様への挨拶

など、退職前に色々とやることがあります。 リストアップしておき、徐々に済ませていきましょう。

お客様をどうするか

独立ではなく、転職の時にはあまり考える必要はありませんが、もしお客様から「転職先でも〇〇さんに頼みたい」と言われた場合には、どうするか考えておく必要があります。 あからさまに抜いていくとトラブルの元ですので、仮に転職先で引き受ける場合でも、

  • お客様自身に今の会社と解約してもらう
  • 次の税理士事務所名、自分の名前は出さないでもらう

ということは徹底した方が良いです。 お客様に解約してもらう前に、次の職場にもきちんとその旨を説明しておき、

  • 受けるか、受けないか
  • いくらくらいで受けるのか

をきちんと決めてから、お客様に最終決定してもらいましょう。   税理士事務所を辞める時は、色々なことを考えなければならず、正直面倒です。 事前に考えられることは決めておき、できるだけスムーズに退社していただければと思います。

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Seiji Aihara / 相原 征爾

Seiji Aihara / 相原 征爾

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