税理士事務所の面接って何が聞かれるの?質問・逆質問・筆記試験(適性検査)の傾向と対策。
税理士事務所への就職活動・転職活動って本当に不安だらけですよね。 特に初めての就職活動や転職活動ならなおさらです。 その中でも一番気になるのは、やはり「面接で何が聞かれるのか」ということではないでしょうか。 今までいくつかの税理士事務所の面接を受けてきましたが、その経験をもとに、税理士事務所の面接で良く聞かれる内容と、その対策についてお伝えします。 なお、主に税理士を目指している方(税理士受験生)向けの内容となっておりますので、予めご了承ください。
目次
税理士事務所の面接で聞かれる内容
事務所によって、また、税理士事務所未経験者か経験者かによって、聞かれる内容は多少異なってきます。 ただ、必ず聞かれるような内容というのはだいたい決まっています。
- 今年の試験の出来はどうだったか
- なぜ税理士を目指したか
- 公認会計士や弁護士ではなくてなぜ税理士なのか
- うちの事務所への志望動機
- この事務所に入ったらどんな仕事がしたいか
- 親の仕事は何か(実家は税理士事務所か)
- 今までの仕事を辞めた理由
- 他にどんな事務所を受けているか
- もし複数の事務所から内定をもらった場合、入社の決め手は何か
- 今まで税理士事務所で働いてきてどうだったか(楽しかったか)
- 今までの仕事内容について
ざっとこんな感じです。
今年の試験の出来はどうだったか
8月の試験後の就活・転職活動なら、どこも面接の最初にだいたい聞いてきます笑。 ボーダーさえ越えていれば素直に答えれば良いのですが、問題は上手くいかなかったときです。 明らかな嘘をつくのは良くないのですが、仮にボーダーに行っていなかったとしても「全然ダメでした」というのもどうかなーとは思います。 「今までそこそこできていたのに当日大失敗してしまった」という方もいると思いますが、やはり採用側としては「試験に受かるかどうか」も結果を出せる人材かどうかのひとつの指標として見ています。 仮にボーダーをかなり下回っていたとしても、「ボーダー付近だけどあまり自信はない」と言った感じで濁すのが良い気がします。 もし結果に自信がなければ、勉強時間の確保ができそうな事務所を選びましょう。 逆に言えば、就活や転職活動での面接のことも頭に入れつつ、受かるように勉強すべきです(過去の自分にも言いたいことです…)。
いつから税理士試験の勉強をしているか(今何年目か)
これはゆるいところ、または毎年科目合格していたりすると聞いて来なかったりもしますが、半々くらいの確率で聞いてきます。 僕は試験が最初の方で足踏みしてしまったので、この質問は嫌でしたが、直近の試験で科目合格をしていればあまりマイナス評価になることはないと感じています。 履歴書を見ればある程度わかってしまうことではありますが、正直に答えれば良いと思います。
なぜ税理士を目指したか
これは想いがあって税理士を目指しているはずなので大丈夫かと想います。 ただ、人間誰しも本音と建前があるものです。 独立、お金、安定など(実際はどうかは別として)を理由に税理士試験の勉強を始めた方も多いでしょう。 僕自身も、一番の理由は独立を視野にいれていたためですが、この「独立」というのは面接ではあまり大きく出すべきものではありません。 雇う側としては、できるだけ長く居てもらいたいと思っているので、独立心の強すぎる人は採りたがらない傾向があります。 僕なんかは典型的な独立願望が強すぎる人(笑)なので、面接では必死に隠していました笑。 建前でも良いので、ここは雇う側が納得できる理由を考えましょう。
公認会計士や弁護士ではなくてなぜ税理士なのか
これも税理士事務所の面接では半々くらいの確率で聞かれます。 それぞれの仕事内容の違いがある程度わかっていて、明確な志望動機があれば問題なく答えられるかと想います。
うちの事務所への志望動機
これは履歴書に志望動機をきちんと書いていれば、意外とあまり面接では聞いてこないのかもしれません。 経験者のときはあまり突っ込んで聞かれなかったのですが、税理士事務所未経験のときの方が聞かれた覚えがあります。 志望動機を上手く考える(きちんと言えるようにする)コツは、募集要項や事務所のHPを読み込むことです。 他にはあまりないその事務所独自の特徴が見つかれば書きやすいかと思います。 できれば、「〇〇をやりたいから」だけとか、条件面のメリットだけで終わらせず、 「〇〇を経験することによって~な税理士になりたい」 「〇〇によって御社に貢献したい」 といったように、事務所があなたを採用することでメリットを感じられるような書き方・言い方を意識すると良いでしょう。
この事務所に入ったらどんな仕事がしたいか
未経験の場合は仕事のイメージがつかないことが多いので、あまり聞かれません。 一方、経験者の場合はだいたい聞かれます。(聞かれなかったら、どういう感じで仕事を任されるのか、どの部署に配属される予定かなど聞いておいた方が良いです。) 法人メインでやりたい、資産税もやってみたい、大きいところにも挑戦したいなど、正直に答えるのが良いかと思います。 これは入社後にミスマッチにならないために重要な質問ですので、きちんと希望を伝えて不明点があれば聞いておきましょう。
親の仕事は何か(実家は税理士事務所か)
これも結構聞かれます。 特に親が税理士や公認会計士で開業していると、将来的には継ぐはずなので、少なくとも何年いてくれるのか気になるのです。 また学生時代から税理士を目指している場合も、「親が税理士なのかな」と思って聞いてくるようです。 嘘をついても仕方ないので、ここは正直に答えましょう。 早めに独立を考えている方は、すでに独立の実績がある事務所や、あまり多くありませんが募集要項に「独立支援」と書かれている税理士事務所を選ぶのが良いかもしれません。
今までの仕事を辞めた理由
これも聞かれてあまり気持ち良いものではありませんが、面接ではよく聞かれます。 社会人未経験だと履歴書に大学時代などのアルバイト歴を書くことになりますが、それについても聞かれます。 「どうしても嫌なことがあって辞めた」という場合は仕方ないです(内容にもよりますが、特にマイナス評価になることはないと思います)が、できるだけポジティブな理由が言えるように準備しておきましょう。
他にどんな事務所を受けているか&その理由
これも面接でよく聞かれます。 他の応募状況とも比べて、どういう税理士事務所で働きたいのか、どういう仕事をしたいのか把握しようとしているとも考えられます。 あまりにも応募している事務所の規模や仕事内容に幅があると印象はあまり良くないので、自分がどういうものさしで事務所を選んでいるかは明確にしておきましょう。 もし幅があり過ぎる場合は正直に言わないのも手かもしれません。
もし複数の事務所から内定をもらった場合、入社の決め手は何か
これは1社しか聞かれたことはありません。 この時に面接させてもらった税理士事務所はどこも良かったので迷っていたこともあり、正直返答に困りました笑。 これは実際に就活をしている方によりけりだと思いますが、条件面よりも仕事内容で選ぶのが後々後悔が少ない気がします。
今まで税理士事務所で働いてきてどうだったか(楽しかったか)
これは税理士事務所経験者限定です。 僕は1社でしか聞かれませんでした。 「楽しくない」と答えるのはどう考えても印象が悪いので笑、今までしんどかった方も学んだことや成長できて良かった点などを探してみましょう。 逆に言えば、仕事が楽しいかどうかは事務所自体で結構決まってしまうので、1社目だったとしてもよく考えて慎重に選ぶべきです。(良い事務所にいたなら「楽しかった」と言えることが多いので)
今までの仕事内容について
社会人経験なしだとアルバイトの内容について聞かれます。 経験者の場合は、ここが面接のメインと言えます。 職務経歴書に書いてあることを掘り下げて聞いてくるイメージです。 もちろん、何がどこまでできるかをアピールすることは大事なのですが、それ以上に大事なのは「できないこと」「やったことがないもの」もきちんと明らかにしておくことです。 変に見栄を張って隠したりすると、「もっとできると思って採用したのに」となって後々困ります。 「やったことがない」ものはきちんとその旨を言うようにしましょう。 職務経歴書に仕事内容、担当先の数、規模などをできるだけ詳しく書いておくのがポイントです。
逆質問ってした方が良いの?何を聞けば良い?
逆質問(応募者から面接官への質問)は絶対した方が良いです。 事務所としても、後で「思っていたのと違った」と思われて早期に辞められたりしたら困るので、気になることは聞いて欲しいと思っています。 ただ、初めてだと何を聞くべきかわからなかったり、「気になるけど果たしてこれを聞いても平気かな?」と思うこともありますよね。 「これは絶対聞いたほうが良い」というものを挙げていきます。
残業はどれくらいあるか
受験生ならこれは気になるところです。 平常時、繁忙期ともに聞いておきましょう。 繁忙期でも最低限の勉強時間は確保できなければ税理士試験は合格できません。 平常時20~30、繁忙期60~80くらいなら何とか勉強とも両立できるかと思います。
- 繁忙期のみ土曜出勤あり
- 毎月第3土曜のみ出勤
などと募集要項に書かれている事務所は、受験生はできれば避けたほうが良いです。
残業代は出るか
税理士事務所では時給制のアルバイトを除き、残業代が全て出る事務所は少ないです。 僕が面接を受けた中でも、「残業代全額支給」の事務所は1社しかありませんでした。 受験勉強を推奨している事務所で、もともと残業が少ないところなら付かなくてもしかたないと思います。 一方、残業が多いにもかかわらず残業代が全くつかないと、かなりモチベーションが下がります(そもそも受験生は残業の少ない税理士事務所を選んだ方が良いのですが)。 聞けば教えてくれますので、堂々と聞きましょう。
試験休暇は取れるか(試験前は休めるか)
これも受験生なら聞いておきましょう。 事務所によって「試験休暇」自体があったり、有給消化だったり様々です。 試験休暇自体も事務所によって3日とか10日とか色々なので、是非聞いておくと良いでしょう。
税理士受験生は自分以外にいるか?
これはモチベーション的に結構重要です。 僕が初めて入った事務所は受験勉強を推奨してくれるところだったのですが、それでも受験生は僕だけだったので少し寂しかったです。 また、税理士を目指していない人やすでに受験が終わってしまった人は業務効率化にあまり興味がなく、自分だけが頑張っているのが悲しくなったりもします…。 その点、他に税理士受験生(本気の人)がいれば仕事面でも勉強面でも良い刺激を受けることができます。
職員の年齢層
気にならない人は気にならないかもしれませんが、僕は最初の税理士事務所に同年代の男子がいなかったので、転職のときは必ずチェックするようにしていました。 職場の居心地的にも同年代がいた方が楽しいですし、歳上の人ばかりだと飲み会のときにめんどくさいので…。
給料はどれくらいか
最終的な確定額は内定後に呈示されますが、だいたいの金額なら普通は教えてくれます。 こちらも重要なので堂々と聞いて大丈夫です。 残業代や賞与を含めてトータルでいくらになるのか、試用期間中は条件が変わるかなどもチェックしておきましょう。
わからないことがあった時に質問ができるか
特に未経験者の場合や、経験が浅い人の場合はこれを聞いておくのは重要だと思います。 「未経験者歓迎」となっている事務所は気軽に質問できることが多いですが、確認の意味も込めて「もちろん自分でも考えたり調べたりしますが、わからないことがあったときに気軽に質問できますか?」と是非聞いてみましょう。 質問しづらい雰囲気の事務所は居心地がかなり悪いと思いますので…。
募集要項やHPを見て気になったところ
募集要項やHPを見ていて必ず不明点はでてくると思いますので、面接時に聞いておきましょう。(逆に、読めばわかることを聞くのは印象が悪くなりますので、事前にきちんと読んでいきましょう。) 僕はHPに朝礼のことが書かれている会社について、「毎日朝礼はちょっとやだなー」と思っていたので面接のときに確認しました。 他にも「飲み会が多い事務所は嫌」とか「社員旅行はいらない」みたいに思っている方も、HPだけではわからなかったりするので聞いておくと良いと思います。
筆記試験(適性検査)ってあるの?対策は必要?
これは事務所によりけりです。 僕が受けたところは、あるところとないところが半々くらいでした。 内容としては、
- 性格診断
- SPI
- ひたすら足し算をしていく問題
- 簿記の仕訳問題
- 取引が表で与えられて、勘定科目の残高内訳を求めるような実務的な問題
- 法人税の事例問題
- 英作文
など色々で、時間は30分~1時間くらいの場合が多いようです。
性格診断
僕が受けた中には性格診断が冊子3枚(合計で30分くらい)という事務所もありました。 こちらは正解はないらしく、対策のしようがないので何もしなくて良いと思います。 本番では時間がタイトなことが多いので、あまり考えずにサクサク進めましょう。
SPI
僕が受けたところはなかったのですが、人材会社の人曰くSPIを出す事務所もあるらしいです。 もし面接まで時間があれば対策をしても良いかもしれませんが、もし時間がなければ最初から諦めても良いと思います笑。 算数の問題は数時間では対策できませんし、そもそも「SPIが出る」とは教えてくれないので、対策しても出目は低いと思います。 もし出てしまっても、あくまで結果は参考程度としている税理士事務所が多いのではないでしょうか。 仮に対策するのであれば、わざわざ本を買わなくても、ネットで「SPI」と検索すれば練習問題が出てきます。 これを3回転くらいできれば十分かと思います。
ひたすら足し算をしていく問題
僕が受けた中で1社だけありました(あまりないと思います)。 おそらく、忍耐力・スピード・正確性などを測っているのだと思いますが、一桁の足し算が普通にできれば対策不要だと思います。
簿記の仕訳問題
簿記3級や2級の勉強をしていたり、簿記論の受験経験があれば大丈夫かと思います。 経験者採用だと実務寄りの仕訳が聞かれることもありますが、普段入力などをしていれば対策不要だと思います。
取引が表で与えられて、勘定科目の残高内訳を求めるような実務的な問題
僕の場合はこのような問題は1社だけでしたが、普通に実務をやっていれば大丈夫だと思います。
法人税の事例問題
税理士試験の法人税法を勉強したことがあれば簡単にできる問題や、かなり実務的な問題など色々なパターンがあるようです。 僕が受けた事務所ではなかったのですが、知り合いに聞く限りでは難しい問題はあまり採用に関係ないようですし、対策もしづらいので何もしなくて良いかと思います。(暇だったらテキストを読み直すとかしても良いかもしれませんが)
英作文
4大税理士法人や、海外支店のある会社がクライアントに多い税理士事務所だと出されることがあります。 ただ、僕が受けたところも、4大でも、英語はあまり合否に関係ないようです。 以上、一応どんなものが出るかは知っていた方が精神衛生上は良いと思いますので書きましたが、基本的には対策は必要ないと思います。 あくまで結果は参考程度としているところが多いと思いますので、特段心配する必要もないかと思います。
まとめ
税理士事務所の面接はだいたい聞かれることが決まっています。 一般の就活で言われるような圧迫面接なども少ないと思いますし、いわゆるクイズ的な問題や時事問題なども僕は聞かれたことがありません。 あくまでここに挙げたものは僕が経験したものがほとんどなので、一部でしかありませんが、ある程度聞かれる内容がわかっていれば対策もしやすいかと思います。 初めて税理士事務所へ就職する方・転職活動をする方の一助になれば幸いです。