売上が1,000万円を超えたら消費税に注意しよう。
年間の売上高が1千万円を超えた場合、消費税を納めなければなりません。
消費税の概要と、計算の注意点、やっておいた方が良いことについてまとめました。
目次
消費税の計算の仕組み
消費税は、売上にかかってくる税金です。
もちろん、相手の売上(こちらとしては支払う側)にもかかりますので、実際は
受け取ったお金(売上)にかかる消費税−払ったお金(経費)にかかる消費税
という算式で計算します。
これがプラスであれば、納める税金が発生しますし、マイナスとなれば払った消費税の方が多いということになりますので、税金が返ってきます。
消費税は、その名のとおりモノやサービスの消費にかかるもので、最終負担者は消費者です。
ではなぜ消費者ではなく、事業者が払わないといけないの?という疑問が出てきますが、単純に消費者一人ひとりから税金を集めるとなると、国が大変だからです。
そこで、事業者が相手方から預かっている消費税から、自分が払った消費税を差し引いた金額を払うこととされています。
上記の算式に具体的な金額(消費税は10%とします)を当てはめると、
- 売上 110円(消費税10円)
- 経費 77円(消費税7円)
であれば、
10−7=3円
が納める消費税となります。
消費税はいつから納めるのか
通常は、売上が1千万円を超えた場合、その2年後の売上から消費税がかかります。
フリーランス(個人事業主)であれば、2020年の売上が1千万円を超えた場合、2022年の売上から消費税がかかります。
つまり、実際に消費税を納めるのは2023年に提出する確定申告のときです。
ちなみに、一度1千万円を超えたらその後ずっと納めないといけないわけではありません。
仮に、2021年の売上が1千万円以下であれば、2年後の2023年はまた消費税はかからなくなります。
基本的には上記の“2年前判定”で良いのですが、いくつか例外があります。
ひとつは、期首から(年初から)半年で売上が1千万円を超えてしまい、かつ、給料の金額も半年で1千万円を超えている場合です。
このときは、超えた年の翌年から消費税がかかります。
もうひとつは、法人で
- 資本金を1千万円以上で設立
- 2期目の期首時点で資本金が1千万円以上になっている
のどちらかに該当する場合です。
設立2期目までは基本的に消費税は納めなくて良いのですが、「資本金が大きい会社は最初から消費税を払ってね」ということです。
「最初は資本金500万で設立したものの、2期目の期首までに増資をして資本金1,000万になった」という場合は上の条件の2番目に該当しますので、2期目から消費税がかかります。
ちなみに、3期目以降は資本金での判定はなく、前々期の売上または前期の期首から半年の売上で判断します。
他にも、相続や合併などがあった場合や、自分で課税事業者を選択している場合などの例外があります。
必要な届出
課税事業者の届出
売上が1千万を超えたら消費税を納めなければならない事業者となります。
この「消費税がかかる事業者」を課税事業者と言います。
課税事業者になったら、「課税事業者届出書」という書類を税務署に出す必要があります。
正直なところ、出さなくても罰則はないのですが、通知や問い合わせが来ることもあるので出しておきましょう。
簡易課税制度の選択
最初の計算方法のところで、「消費税は売上の消費税から経費の消費税を引いて計算する」と書きました。
実は、もうひとつ計算方法があります。
それが「簡易課税制度」と呼ばれるものです。
消費税は、何でもかんでもかかってくるわけではなく、消費税がかからない取引もあります。
消費税の計算をするときには、取引ごとに「消費税がかかるか、かからないか」を分類していかなくてはならないのです。(もっと言うと、どの売上に対応する経費かまで分類しなければならない場合もあります)
これは小規模な事業者にとっては非常に大変なので、簡単な計算方法が用意されています。
納める消費税の計算式は、ざっくり書くと
売上にかかる消費税−売上にかかる消費税×一定の割合
となります。
つまり、「売上の消費税だけきちんと計算すれば、経費の消費税は割合をかけただけでざっくり計算していいよ」という方法なのです。
この方法は単に計算が簡単なだけでなく、仮に経費の消費税の計算をきちんとできる場合であっても、こちらの方法を選択した場合の方が得なこともあります。
たとえば、サービス業であればさきほどの割合は50%と決められています。
実は、給料などの人件費には消費税がかかりません。
サービス業の会社で、
- 売上110円
- 経費83円(うち人件費50円)
の場合、原則の計算では、納める消費税は
10−(83-50)×10/110=7円
です。
これが、簡易課税制度を選択していた場合、
10−10×50%=5円
となり、こちらの方が納める税金が安くなるのです。
この方法をとるためには、「簡易課税制度選択届出書」という書類を提出します。
提出期限は、簡易課税で計算しようとする年(年度)が始まる前までです。
3月決算の会社が2023年4月以降の消費税を簡易課税で計算したいときは、2023年3月31日までに提出する必要があります。
また、2年前の売上が5,000万円を超えているときは、届出を出していても自動的に原則の方法での計算になります。
ちなみに、簡易課税制度を適用してから2年間は、原則での計算方法に戻すことができません。
他にも、簡易課税制度の適用・とりやめにあたっては色々と細かい制限があります。
届出を出すときは十分注意しましょう。
やっておいた方が良いこと
届出をきちんと出す、というのは前述のとおりですが、それ以外できちんとやっておいた方が良いことのひとつは経理です。
フリーランスの方で、今まで日々の会計ソフトへの入力はしていなかったという方も多いでしょう。
しかし、消費税を納めることとなった場合、消費税の取引区分については、日々分類していかないと決算や確定申告のときに大変になります。
また、いままで所得税や法人税だけで済んだものが、今回から消費税が加わるわけです。
きちんと利益予測・納税予測・資金繰り予測をしておかないとショックも大きいですし、資金が足りなくなる可能性もあります。
上記の簡易課税制度の選択をするかどうかも、ある程度売上や経費の中身がわかっていないと有利不利の判断ができません。
これを機にきちんと経理をするようにしてみましょう。
消費税がかかってしまうのを先延ばしにしたければ、法人化してしまうのもありです。
法人成りしてしまえば、基本的に2年間は消費税がかかりません。
売上や利益の規模としても、法人税や所得税を考えると法人にする方が得な可能性も高いです。
消費税は難解でトラップの多い税金です。
いずれにしても、消費税がかかりそうであれば一度税理士に相談してみることをおすすめします。
僕は単発相談も承っています。
※当記事の内容は執筆時現在の法令等に基づいております。改正や個別の案件等には対応していない場合がございますので、ご注意ください。
サービスメニュー
Postscript執筆後記
今日は確定申告が無事終了。すべてのお客様の納税が終わり、ほっとしています。
Something New一日一新
とある韓国料理店バルミューダ ランタン