フリーランス・ひとり社長は資産はいくらまでなら経費にできる?
資産を買ったときは、その金額により、その年の経費にできるかできないか変わってきます。
目次
10万円未満の資産
モノを買ったときは、経費にならずに固定資産として計上し、後述する「減価償却」により少しずつ経費にするというのが原則です。
しかし、少額のものであれば、一括でその年度の経費にしても良いことになっています。
そのひとつの基準は10万円未満かどうか。
その資産の買ったときの金額が10万円未満であれば、全額経費にできます。
この10万円未満かどうかの判断は、通常取引される1単位ごとに行います。
たとえば、応接セットであれば、椅子と机をセットで10万未満かどうか判定します。
カーテンであれば、1枚ではなく部屋ごとに判断します。
数枚が組み合わさって部屋ごとに機能すると考えるからです。
20万円未満の資産
20万円未満の資産は、資産の種類に関わらず3年で経費にすることができます。
たとえば、18万円の資産であれば、1年で6万円ずつ経費にします。
その年の何月に買ったかは関係ありません。
ただ、法人の場合で、設立初年度が1年未満の場合などは月数按分が必要になることがあります。
ちなみに、途中で廃棄したり、売ったりしても経費の金額が変わることはありません。
2年目の途中で売ったとしても、3年目も6万円が経費にできます。
20万未満かどうかの判定の仕方は、10万円未満のときと同じです。
なお、10万円未満であっても、こちらの方法で経費にすることも可能です。
30万円未満の資産
青色申告限定で、30万円未満の資産も1年で経費にできます。
法人の場合、厳密には細かい要件がありますが、ひとり社長の場合ほぼ問題なく該当すると考えていただいて大丈夫です。
限度額は、年間で300万円までです。(事業年度が1年未満の法人は月数按分します)
こちらは青色申告の大きなメリットですが、開業初年度で「青色申告承認申請書」を期限までに提出しておらず、適用できない方をたまに見かけます。
法人はもちろん、個人も白色申告のメリットはほぼありません。
これは非常にもったいないですので、開業・設立したら必ず期限内に申請書を出すようにしましょう。
(個人はその年の3/15までまたは開業から2ヶ月以内、法人は通常設立から3月以内)
30万円未満かどうかの判定は、10万未満、20万未満のときの考え方と一緒です。
30万未満、かつ20万未満であれば、上記の「3年で経費」の方法を選択しても構いません。
ちなみに、この方法で経費にした場合は、資産の種類によっては「償却資産税」の申告対象となることがあります。
資産の数が多い場合は注意しましょう。
「10万未満で一括経費」or「20万未満で3年経費」にしているものであれば対象外です。
30万円以上の資産
30万円以上の資産は、「減価償却」といって毎年少しずつ経費にしていきます。
たとえば、32万のパソコンを買ったとします。
通常のパソコンであれば4年で経費にすると決められていますので、定額法という方法で計算した場合、1年で経費にできるのは最大8万円です。
(個人であれば定額法、法人であれば定率法が原則です(パソコンの場合)。届け出を出すことにより別の方法を選択することもできます)
ただし、この減価償却は月割計算をします。
3月決算の会社で、3月に買った場合には8万円×1月/12月分しか経費にできないのです。
年度末に高額の資産を買っても、あまり節税にならないこともありますので注意しましょう。
金額は消費税の経理方式で判断
上記の10万、20万、30万未満かどうかの判定は、消費税の経理方式によって変わります。
- 税込経理方式→税込み
- 税抜経理方式→税抜き
で判断します。
たとえば、税抜き290,000円のパソコンを買った場合、税込み金額は319,000円です。(消費税10%の場合)
- 税込経理→一括では経費にできない(資産計上し、減価償却)
- 税抜経理→1年で経費計上可能
となります。
普通は、
- 免税事業者または課税事業者で簡易課税→税込経理
- 課税事業者で原則課税→税抜経理
となります。
ご自身の会計ソフトの消費税設定を確認してみてください。
ちなみに、上記のルールは、あくまで「経費にできる」規定です。
あまりないかもしれませんが、経費にせずに、あえて資産計上することもできます。
経費にする場合は、「消耗品費」などの科目を使えばOKです。
「あえて利益を大きくしたい」などの特段の理由がなければ、「青色申告なら、30万円未満の資産は1年で経費にできる」とお考えいただければ大丈夫です。
※当記事の内容は執筆時現在の法令等に基づいております。改正や個別の案件等には対応していない場合がございますので、ご注意ください。
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