「勘定科目が覚えられない」「間違えた」など勘定科目にまつわる悩み・疑問を解決!
「勘定科目が覚えられない」
「勘定科目を間違えてしまった」
「勘定科目って途中で変えてもいいの?」
など、勘定科目に関する疑問や悩みは多いかと思います。
ここでは、税理士である僕がこれらのよくある勘定科目の質問に答えてみたいと思います。
目次
勘定科目を覚えられない
「勘定科目が覚えられない…」という悩みは多いようです。
こう言ってしまうと元も子もないのですが、勘定科目は最初から覚えようとしなくても大丈夫です。
会計ソフトに取引を登録する都度調べていけば、そのうち自然と覚えるものです。
我々税理士も、すべての勘定科目を覚えているわけではありません。
見慣れない取引が出てきたときや、迷ったときはその都度調べています。
「無理に覚えようとしなくても良い」と考えた方が、経理に対するハードルが下がるのではないかと思います。
とはいえ、「それでも科目を覚えたい」という方もいらっしゃるでしょう。
勘定科目を覚えるコツは、
- 勘定科目を分ける意味を考える
- 勘定科目に触れる頻度を増やす
の2つです。
順番に見ていきましょう。
勘定科目を分ける意味を考える
まず、勘定科目というものがなぜ存在するのか考えてみます。
実は、勘定科目はどれを使うか、どのように分けるか法律で決められているわけではありません。
極端に言えば、全部「経費」としてひっくるめて表示しても間違いとは言えないわけです。
それでも、ほとんどの場合科目を分けるのは、取引を勘定科目で分類していった方がわかりやすいからです。
たとえば、トータルで経費が100円かかっている場合、
「経費 100円」
とあるよりも、
「交通費10円 交際費30円 外注費20円 給料40円」
とした方が、何に使ったかわかりやすいですよね。
勘定科目は、自分で試算表なり決算書なりを見たときに、収入や支出の内訳をわかりやすくするためです。
「どのように使い分けていけば自分がわかりやすいか?」と意識して使っていけば、自然と勘定科目は覚えられます。
勘定科目に触れる頻度を増やす
勘定科目を覚えられない理由の2つ目は、単純に勘定科目に接する頻度が少ないことです。
パソコンやスマホの買い替えや、年に1回しかやらない仕事などはなかなかやり方を覚えることができなかったりします。
これらはたまにしかやらないので、その時にやり方を理解したつもりでも、次にやる時までに忘れてしまっているからです。
たまにしかやらないものは仕方ないのですが、勘定科目は触れる頻度を増やすことができます。
毎月、毎週、毎日など、細かいスパンで経理をしていれば、単純に勘定科目に触れる機会が増えます。
その結果、自ずと科目を覚えます。
おそらく、「勘定科目を覚えられない」という方は、確定申告のときにまとめて会計ソフトに取引を入力しているという方が多いかと思います。
これだと、経理が完全に税務署のためだけになってしまっており、もったいないです。
日々経理をしていけば、会計データを経営判断に役立てることができます。
レシートをためてしまうより、毎日経理をした方が結果的に楽で、めんどくさくありません。
僕も、毎日自分で経理をしています。
毎日が難しければ、まずは月1でも良いので経理をやってみましょう。
そうすれば、勘定科目は覚えられます。
勘定科目を間違えた
経費間なら間違えても問題ない
「勘定科目を間違えてしまった、どうしよう」と思うこともあるかもしれません。
結論から言いますと、勘定科目は間違えても問題ないことが多いです。
期中なら気づいたときに直せば良いですし、申告書を出したあとで気づいたものも、場合によっては修正は不要です。
たとえば、交通費が交際費に入っていたとか、交際費が支払手数料に入っていたとしても、税金計算上は問題ありません。(ただし、法人の場合は交際費の金額に限度がありますので、場合によっては税金が変わってしまうことはあります)
税額さえ変わらなければ、どの科目を使って処理しているかは税務署はあまり気にしないのです。
ただし、経費にならないもの(売上、借入金の元本)などが間違って経費の科目で処理されていた場合は、税金が変わってしまいます。
この場合には、申告書の修正・再提出が必要になります。
消費税区分は注意しよう
「科目は間違っても問題ない」と述べましたが、消費税区分が変わってしまうものは注意しましょう。
消費税の課税事業者で、軽減税率の取引が10%の科目で処理されていたり、消費税対象外の取引が「課税仕入」として処理されていると税額が変わってしまいます。
科目が間違っていても、消費税区分が正しく修正されていれば問題ありませんが、会計ソフトでは科目ごとにデフォルトの消費税区分が設定されています。
たとえば、「広告宣伝費」を選ぶと自動で「課税10%」になるソフトが多いですが、この記事を書いている現在、Facebook広告やTwitter広告は「対象外」です。(課税売上割合95%以上の場合)
途中で変えてもOK
勘定科目は自由ですので、途中で科目を変えても構いません。
「1期目は『事務用品』で処理していたけど、2期目から『消耗品費』にする」
といったことも問題ないですし、期中に変えても大丈夫です。
ただ、期中に変えた場合は、その年度のそれ以上前の取引も変えておいた方が、月ごとの比較をするときにわかりやすいです。
できれば、会計ソフトの「科目一括変換」の機能を使って変えておきましょう。
おすすめの勘定科目の使い分け方
自分の使いやすさを一番に考える
冒頭でもお話ししたように、勘定科目は自分の使いやすいようにわけるのが一番です。
まずは一般的な科目を使ってみて、自分が「これとこれは別に管理したい」と思うものがあれば分けます。
逆に、まとめてしまいたいものがあれば、同じ科目を使うようにします。
科目名は自分がわかりやすいようにオリジナルのものを作っても構いません。
一般的な科目はこちらを参考にしていただければと思います。
消費税区分が異なる取引は、科目を分けてしまった方がミスを防げます。
(「Google広告」「Facebook広告」など)
補助科目はなるべく使わない
補助科目は内訳を見るのに便利ではあるのですが、作りすぎると試算表や推移表が見づらくなったり、取引の入力や登録が面倒になります。
勘定科目だけであれば、科目を一つ選ぶだけですが、補助科目も使うとなると
まず勘定科目を選ぶ→次に、補助科目を選ぶ
というように2ステップ必要になるからです。
分けたいものは、勘定科目を作ってしまい、勘定科目で分けた方が楽です。
決算や試算表を出す時はまとめる
「自分では管理のために分けたいけど、外部にはあまり見せたくない」というケースもあるかと思います。
そんな科目は、まとめてしまいましょう。
会計ソフトには、勘定科目と決算書の表示科目を変える機能があります。
「セミナー売上」「コンサルティング売上」とある場合でも、決算書上は「売上高」として表示できるのです。
こちらの決算書に関する設定を使ってまとめましょう。
また、融資を受けている場合など、銀行から試算表の提出を求められることがあります。
そのまま出しても問題ないですが、銀行はどちらかというと“伝統的な科目”の方が安心します。
試算表上で科目を変えたりまとめたいときは、試算表をcsvで吐き出し、Excelで加工して提出するのが良いでしょう。
提出する頻度が多ければ、VLOOKUP関数などを使って連動させておくと楽です。
勘定科目を自分好みに使えるようになれば、数字を見るのが楽しくなります。
少しづつ慣れて、勘定科目を使えるようになっていきましょう。
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Postscript執筆後記
昨日は久しぶりにDTMを。勘が戻ってきましたが、元の録音がしょうもないと、どうあがいてもダメですね…。