分割払いはいつの経費になるか。分割払いにすると節税になる?
分割払いをすると、その支出はいつの経費になるのでしょうか。
分割払いをしたときの経費の考え方についてまとめました。
目次
分割払いはいつの経費になる?
モノを買ったときには、基本的には買ったときに経費になります。(ものによっては使い始めたとき)
期末に12万のパソコンを買った場合は、その期の経費となります。
ただ、例外もあります。
30万円以上の資産を買ったときは、一括で経費とすることができず、減価償却という方法により毎期少しずつ経費にしていきます。
仮に、12万円のパソコンを12回払いで買った場合はどうなるのでしょうか。
この場合、毎月1万円ずつ支払うとしても、12万円が買ったときの経費となります。
これは30万円以上の資産についても同じ考え方をします。
360万円の車を12回払いで買うと、毎月の支払額は30万円です。
この場合でも、分割払いの金額に関係なく、360万全額を一旦資産に計上し、減価償却により経費にします。
つまり、一括で買ったとしても分割で買ったとしても、経費にするタイミング・金額は変わらないということです。
ただ、名目上「分割払い」となっていても、実質的に毎月の「利用料」のようなものもあります。
その場合は、毎月の支払が実質的にそのシステムやサービスの利用料となりますので、その各月の利用料がその使った月(支払ったとき)の経費となります。
分割払いは節税になる?
上記の通り、分割払いにしたとしても一括払いのときと経費にするタイミング・金額は変わりません。
分割払いは節税にはならないということです。
3回以上の分割払いにすると、普通は利息(分割手数料)がかかります。
この利息は経費にできますので、税金を安くできると考えることもできます。
しかしながら、その分お金は出ていってしまいます。
そのため、節税とは言えないでしょう。
分割払いはしない方が良い
分割払いは、個人的にはあまりおすすめできません。
以下のような問題があるからです。
経理上の手間
分割払いにしていると、経理が面倒になることがあります。
クレジットカードで分割払いやリボ払いにしていて、かつ、クレジットカードを会計ソフトに連携していない場合は入力時に注意しなければなりません。
30万円未満の資産であれば、購入時に
消耗品 / 未払金
という仕訳を入力します。
クレジットカードの明細によっては、分割払い分も他の一括払い分と合わせて、その月の分割金が明細に載ってくることがあります。
気をつけていれば問題ありませんが、この分割金も間違えて入力してしまうと経費の二重計上となってしまいます。
まぁ、分割払いをしているかどうかにかかわらず、クレジットカードは使った時点で会計ソフトまたはExcelに入力するか、会計ソフトに連携すべきではありますが。
預金から分割金が利息(分割手数料)と一緒に引き落としになっている場合も、少し手間がかかります。
分割金の元本は「未払金」、利息部分は「支払利息(または「支払手数料」)」と分けて計上しなければならないからです。
借入金の仕訳も同様ですが、特に元利均等返済の場合はいちいち返済表を見ながら元本と利息を分けなければなりません。
こちらは預金を会計ソフトに連携していても自分で分ける必要があります。
資金繰りの問題
経理の手間よりも重大なのが資金繰りの問題です。
分割払いにすることで、一括払いのときよりも資金繰りが分かりづらくなります。
きちんと資金繰り表を作って毎月見ていれば問題ないですが、分割払いがあると資金繰り表を作るときにも少し手間が増えます。
そもそも、分割払いをしてまで買わなくてはいけないものかどうか、考える必要もあるでしょう。
もちろん、どうしても事業に必要なものであれば問題ありません。(僕もパソコンを分割で買ったことはあります)
しかしながら、そうではないケースもあるかと思います。
まずは、無料のものや少ない投資額で何とかならないか、検討してみることも大事です。
最初から分割払いにしなければ買えないような多額の設備投資が必要なビジネスは、リスクが高いことも多いのではないでしょうか。
小さく始められるものからやってみる、もっと言えば、「小さく始められるものしかやらない」というのも、ある意味賢い選択ではないかと思います。
一度分割にしてしまうと「分割にすればいいや」という悪いクセもついてしまいます。
分割払いは節税にもなりませんので、いざというときの切り札にしておきたいものです。
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Postscript執筆後記
今日はお客様の申告。今月は独立して初めて申告が3社ありましたが、無事に終わってほっとしています。