10年以上住んでいた居住用不動産を譲渡した場合の軽減税率・適用要件。
10年以上住んでいたマイホームを売った場合には、軽減税率が適用される場合があります。
目次
概要
住んでいた家やその敷地を売った場合で、その売った年の1月1日時点でその家や敷地の所有期間が10年を超えていれば、譲渡益にかかる税率が低くなることがあります。
なお、税率は次の通りです。
譲渡所得の金額(=A) | 税額 |
---|---|
6,000万円以下 | A×10% |
6,000万円超 | (A-6,000万円)×15%+600万円 |
※譲渡所得の金額=(土地建物を売った収入金額)-(取得費+譲渡費用)-特別控除
※令和19年までは、復興特別所得税としてさらに所得税額の2.1%がかかります
譲渡所得が6,000万円までは10%、それを超える部分については15%ということです。(6,000万を1円でも超えるとすべてが15%になってしまう、ということではありません)
通常の長期譲渡所得の税率は20.315%ですので、最低でも5%程度低くなっています。
譲渡所得の概要、特別控除についてはこちらの記事を見ていただければと思います。
軽減税率の適用要件
軽減税率が適用される場合には、次の要件を満たす必要があります。
住んでいるor住んでいた家を売っている
自分が現在住んでいる家を売るか、以前に住んでいた家を売っている必要があります。
一定期間だけの仮住まい、別荘、この特例を受けるためだけに入居したと認められるような家では適用されません。
家だけでなくその土地や借地権などを一緒に売却している場合や、家が災害により滅失し、その敷地を売っている場合も適用されます。
住んでいた家を売った場合には、一定期間内に売っている
住んでいた家を売った場合には、住まなくなった日から3年目の年末までに売っている必要があります。
なお、住んでいた家・住まなくなった家を取り壊していてもこの軽減税率は適用されますが、次の2つの要件を満たしていることが必要です。
- その敷地の譲渡契約が、家を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年目の年末までに売っている
- 取り壊しから売却の日までに、その敷地を他の用途(貸駐車場など)に転用していない
他の一定の特例を受けていない
家を売った年の前年・前々年に以下の特例の適用を受けていると、この軽減税率は使えません。
- この軽減税率
- マイホームの買い替えの特例
- マイホームの交換の特例
なお、3,000万円の特別控除は同時に適用を受けることができます。
親族に売ったものではない
親や子、兄弟、配偶者などの親族や、内縁関係にある人、特殊関係のある会社などに売った場合は軽減税率の適用は受けられません。
つまり、特別な関係にない第三者に売っている必要があります。
一定の書類を添付して確定申告をする
軽減税率の適用を受けるためには、所得税の確定申告書に以下の書類を添付して提出します。
- 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]
- 売った家や敷地の登記事項証明書(謄本)
住民票の住所とマイホームの住所が異なる場合には、戸籍の附票の写し、消除された戸籍の附票の写しなどの書類も必要になります。
譲渡所得の内訳書は国税庁のHPでもPDFをダウンロードできますし、ネット上の確定申告書作成コーナーでも作ることができます。
謄本は法務局に出向くか、登記ねっとなら郵送でも取り寄せることができます。
条件は3,000万円控除のときとほぼ同じですので、3,000万円控除の要件を満たし、かつ10年以上住んでいれば受けられます。
注意点
3,000万控除のときと同じく、この軽減税率の適用を受けているときは住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受けられない場合があります。
詳しくは、上記の3,000万円控除の記事をご覧いただければと思います。(条件は3,000万円控除のときと同じです)
長く住んでいるor住んでいた家やその土地を売った場合には、今回の軽減税率が受けられる可能性があります。
適用のし忘れがないか注意しましょう。
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Postscript執筆後記
午前中は決算、午後から美容室へ行き、その後カフェで仕事。明日は友人の個別コンサルティング。楽しみです。