ひとり社長の給料計算の方法。給与計算は自分でもできる。
「給与計算」と聞くと何だか難しいイメージですが、ひとり社長の給料は自分でも計算できます。
会計ソフトなどを使わず手計算する方法を紹介します。
目次
額面を決める
まずは、諸々天引きする前の額面を決めます。
役員報酬の決め方は、こちらを参考にしていただければと思います。
今回は、額面15万、年齢は40歳という前提で計算します。
社会保険
最初に計算するのは社会保険です。
給料から天引きする社会保険は、健康保険、厚生年金、雇用保険があります。
社長であれば、雇用保険は加入義務がありませんので、健康保険と厚生年金だけわかれば良いということになります。
健康保険と厚生年金は、「標準報酬月額」という金額を使って計算します。
まずは、こちらのサイトで標準報酬月額を確認します。
(「健康保険 令和3年」といったキーワードで検索すると出てきます。)
令和3年度保険料額表(令和3年3月分から) | 協会けんぽ | 全国健康保険協会
今回は、東京都に住んでいるという前提で計算しますので、「東京」をクリックします。
「報酬月額」というところが、いわゆる額面です。
今回は15万ですので、「146,000〜155,000」の行が該当します。
左を見ると、標準報酬も150,000万円となります。
なお、通勤手当も支給する場合は、通勤手当も標準報酬月額に含めて計算します。
標準報酬が150,000円の場合、「健康保険料」「厚生年金保険料」の折半額を見ると、
健康保険→8,730円
厚生年金→13,725円
となります。
今回は40歳ですので、介護保険の被保険者に該当します。(40歳以上で加入義務あり)
会社の場合、社会保険は会社と個人で半分ずつ負担しますので、この「折半額」が給料から天引きする社会保険の金額となります。
なお、今回は法人設立後最初に給料を支給するという体で15万と決めてしまっていますが、厳密には「標準報酬」は4、5、6月の3ヶ月間に支給した給料の平均になります。
2年目以降で、仮に4月から給料を20万に変更する場合、
4,5,6,7月の標準報酬月額→150,000
8月以降の標準報酬月額→200,000
となります。
7月分の給料までは、たとえ額面が20万だったとしても、社会保険は15万ベースで計算した金額を控除するということです。
また、通常社会保険は「当月分翌月控除」です。
4月分の社会保険は5月支給の給料から控除します。
そのため、4月から支給し始める場合、4月分は源泉所得税(+住民税)だけ控除し、5月から社会保険も控除を開始します。
源泉所得税
次に、源泉所得税を計算します。
源泉所得税は、社会保険控除後の給料の金額をもとに計算します。
今回の社会保険料控除後の給料の金額は、
150,000-(8,730+13,725)=127,545円
です。
なお、通勤手当を支給する場合でも、源泉所得税を計算するときは通勤手当は含めずに考えます。
この金額を「給与所得の源泉徴収税額表」というものに当てはめて計算します。
(「令和○年 給与所得の源泉徴収税額表」と言ったワードで検索しましょう)
今回は、こちらの「月額表(PDF)」を使います。
一番左の列が「社会保険料等控除後の給与等の金額」となっています。
127,545円ですので、「127,000円以上 129,000円未満」の行の「甲」欄を見ます。(「乙」欄は2つ目の会社からの給料計算など、特殊な場合に使います。)
扶養なしの場合、源泉税は2,150円となります。
住民税
住民税は特別徴収と言って給与天引きが原則です。
年末調整や確定申告をしたときに住民税の納付方法につき「特別徴収」を選択していれば、会社宛てに「特別徴収税額決定通知書」という書類が市区町村から送られてきます。(メールで送られてくる場合もあります)
こちらに各月の納付額が書いてありますので、その金額の通りに天引きします。
普通は、初回が6月分で、6月支給の給料から天引きした金額を7月10日までに払います。
なお、事前に届け出を出せば、住民税の支払いを年2回にできます。(6月と12月。従業員数9人以下の場合)
「〇〇区 住民税 納期の特例」といったキーワードで検索してみましょう。
通常は初回の6月と、7月以降で金額が異なりますので注意してください。
今回は、便宜上1,000円とします。
手取り額の計算
最後は手取り額の計算です。
手取り額=額面-(社会保険+源泉所得税+住民税)
で計算します。
今回の場合であれば、
150,000-(22,455+2,150+1,000)=124,395円
となります。
まとめ
ひとり社長であれば、残業代など特殊な手当がないため給料の計算はシンプルです。
給与計算ソフトを使わずとも、ご自身で計算できます。
計算が終わったら、1年分の仕訳もcsvで作り会計ソフトにインポートしてしまうと楽です。
給与計算用の簡単なExcelを作ってみました。
オレンジ色のところに数字を入れると手取り額が計算されます。
よろしければダウンロードしてお使いください。
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Postscript執筆後記
週末は小さい頃よく行っていた葛西臨海公園の水族館へ。久しぶりに魚やペンギンを見て癒やされました。