フリーランス(個人事業主)や不動産所得がある人が確定申告をする場合、青色申告と白色申告があります。

ここでは、青色申告と白色申告の違い、両者のメリット・デメリットについてお伝えします。

目次

青色申告と白色申告の違い

青色申告と白色申告では、主に次のような違いがあります。

控除額

青色申告の場合は10万、55万、または65万円の所得控除(所得からマイナスできる)を受けることができます。

白色申告の場合はこのような特別控除はありません。

なお、青色申告特別控除の金額は次の要件を満たしているかどうかで変わります。

  1. 青色申告承認申請書を提出している
  2. 不動産所得または事業所得を営んでいる(不動産所得の場合は、マンションなどであればおおむね10室以上、一戸建てであればおおむね5棟以上貸し付けていることなどの要件あり)
  3. 複式簿記で帳簿を作っている(会計ソフトに入力している)
  4. 貸借対照表・損益計算書を添付した確定申告書を期限内に提出している
  5. 電子帳簿保存を行っているor確定申告書を期限内にe-Tax(ネット)で提出している
  • 1のみを満たす→10万控除
  • 1〜3をすべて満たす→55万控除
  • 1〜5をすべて満たす→65万控除

となります。

通常のフリーランスの方であれば、

「申請書を出して、会計ソフトに入れて、期限内にネットで確定申告書を提出していれば65万控除が使える」

と思っていただければ大丈夫です。

赤字の繰り越し・繰り戻し

その年の事業につき利益が出ず赤字となった場合、青色申告なら最大3年間赤字を繰り越すことができます。

繰り越した赤字は、次の年以降に利益が出た場合、その利益からマイナスすることができ、その年の税金を安くすることができるのです。

たとえば、1年目が−50万、2年目が+200万である場合、2年目は200万-50万=150万をその年の利益と考えて税金を計算します。

 

逆に、前期が黒字、当期が赤字だった場合には、前期に払った税金の一部を返してもらうこともできます。

こちらも、前期・当期ともに青色申告である必要があります。

家族への給料

白色申告の場合、配偶者など同居の親族への給与として控除できる金額は最大で配偶者86万円、その他の親族は50万円までです。

一方、青色申告の場合には金額の上限は決められていません。

詳しくはこちらもご覧いただければと思います。

資産の一括経費化

白色申告の場合、車やパソコンなど仕事で使う資産を一度に経費にできるのは、1個あたり10万円未満のものに限ります。

青色申告なら、1個あたり30万円未満のものにつき一括でその年の経費にできます。

家賃や水道光熱費の取り扱い

白色申告の場合は、家賃や水道光熱費を経費にするためには、「その事業で使っている割合が50%超」または「事業に必要な部分が明らかに区分できる」という要件を満たす必要があります。

「ちょっとだけ事業に使っているから、とりあえず20%経費にしておこう」といったことはできないのです。

青色申告の場合には、事業で使っている割合が50%以下でも経費にすることが可能です。

申請書

青色申告をするためには、「青色申告承認申請書」という書類を管轄の税務署に提出する必要があります。

提出期限は、

  • 通常の場合→青色申告で申告しようとする年の3/15
  • その年の1/16以降に開業した場合→開業日から2ヶ月以内

となります。

たとえば、2021年4月1日に開業した方が2021年分の確定申告書(2022年に提出するもの)を青色申告にしたい場合の提出期限は、2021年5月31日です。

会計ソフトへの入力

青色申告で55万または65万控除を受ける場合には、複式簿記で帳簿を作らなければなりません。

昔は手書きで紙の総勘定元帳を作っていましたが、今は会計ソフトを使うのが普通です。

会計ソフトを使えば、自動的に複式簿記による帳簿を作ることができます。

 

なお、青色申告で10万控除を受ける場合、または白色申告の場合にも帳簿を作る必要があります。

こちらは、厳密な形式によらない簡易的な帳簿で良いことになっています。

取引は1日ごとの合計で記載して良いなどのルールもありますが、記載しなければならない内容は複式簿記の帳簿とあまり変わりません。

ただ、会計ソフトを使う必要はなく、紙やExcelで作れば済みます。

「帳簿はどのみち作らなければいけないけど、内容がちょっと違う」ということです。

確定申告書

青色申告と白色申告では確定申告書の様式も少し異なります。

(青色申告は「青色決算書」、白色申告では「収支内訳書」と呼ばれるものを作ります。)

白色申告は貸借対照表を作る必要がなく、記載する枚数も青色申告より少なくなっています。

青色申告のメリット・デメリット

上記の青色申告・白色申告の違いをふまえ、それぞれのメリット・デメリットを考えてみます。

青色申告のメリット

青色申告申告はメリットが多いです。

  • 特別控除
  • 赤字の繰り越し・繰り戻し
  • 家族へ給料を多く出せる
  • 30万円未満の資産は1年で経費にできる
  • 家賃や水道光熱費などを経費にしやすい

税金のことを考えるのであれば、青色申告の方がお得です。

青色申告のデメリット

  • 申請書の事前提出が必要
  • 会計ソフトへの入力が必要
  • 貸借対照表を作らなくてはならない

これらは青色申告のデメリットと言えます。

申請書は1回出せば済みますが、ちょっと面倒といえば面倒です。

また、複式簿記での帳簿を作る必要がある(会計ソフトを使う必要がある)というのも手間です。

会計ソフト代が別途かかりますし、入力から税理士に頼む場合には余計に税理士費用がかかる場合もあります。

とはいえ、ソフト代は年間1万円前後ですし、クレジットカードや預金を会計ソフトに連携してしまえば、かえって白色申告の簡易帳簿よりも楽な可能性はあります。

 

貸借対照表は会計ソフトを使っていれば作れるものの、国税庁の確定申告書作成コーナーで申告する場合には別途入力が必要になり、その手間はあります。

白色申告のメリット・デメリット

白色申告のメリット

  • 申請書の提出がいらない
  • 簡易的な帳簿で良い(会計ソフトがなくてもOK)
  • 確定申告書の記載項目が少ない

申請書を出し忘れてしまった場合は白色申告しかありません。

先述のとおり、簡易的な帳簿でよく、会計ソフトを使わなくても済むのは楽です。

ただ、事業内容や規模によっては会計ソフトを使った方が楽なケースもあります。

また、白色申告なら確定申告の際に貸借対照表を作らなくて済み、記載する枚数が少ないのはメリットです。

白色申告のデメリット

以下は、白色申告のデメリットです。

  • 特別控除がない
  • 赤字の繰り越し・繰り戻しができない
  • 親族への給料は上限がある
  • 10万円以上の資産は1年で経費にできない
  • 家賃や水道光熱費などを経費にしにくい

つまり、青色申告のメリットが享受できないということです。

 

 

青色申告は初年度はやや手間ですが、税金のことを考えるなら青色申告一択です。

白色申告も簡易的な帳簿は作らなければなりませんし、ネット提出も一度やってしまえば翌年以降はかなり楽です。

フリーランスとして独立し、今後も毎年確定申告する方であれば、ぜひ青色申告を検討してみましょう。

サービスメニュー

Postscript執筆後記

今日は決算、自社の利用者識別番号取得など。
ブログに時間がかかりました…。

Something New一日一新

自社のe-Tax開始届提出
DaVinci Resolveで動画と音声を重ねた

\本を出版しました/

Seiji Aihara / 相原 征爾

Seiji Aihara / 相原 征爾

『独立は最強の解決法』という理念のもと、長期的な視野と絶妙なバランス感覚で人生を楽しむことをサポートする、ひとりビジネス専門税理士。ひとり社長。

得意な仕事はクラウド会計の導入・ペーパーレス化・経理業務効率化・各種シミュレーション・独立支援など。
遠方・オンライン・スポット対応可能です。
簿記がわからなくても、一から経理ができるようにお伝えします。
Windows・Mac両対応。

音楽、映画、インターネット、カレー、クラフトビールが大好き。
名刺、ロゴ、WordPressテーマ、本の表紙から音楽まで自作する、自称超クリエイティブ。

詳しいプロフィールはこちら
税理士事務所のHP・サービス一覧はこちら

著書 『知識・経験ゼロでも独立して人生を楽しむ方法』