会社設立後に必要なひとり社長の社会保険手続き。
会社を設立したら社会保険の手続きが必要です。
社会保険の加入義務、ひとり社長の場合の社会保険の手続きについて解説します。
目次
会社を作ったら社会保険の加入が必要
法人の場合は、原則として従業員(社長)1人であっても社会保険に入らなければなりません。
ここでいう「社会保険」の中身としては、以下のものがあります。
- 健康保険(+介護保険)
- 厚生年金
- 雇用保険
- 労災保険
このうち、ひとり社長自身が入らなければならない(入ることができる)のは健康保険と厚生年金です。(40歳以上であれば介護保険も)
雇用保険は従業員であれば原則として全員加入義務があり、労災保険は従業員を雇用した時点で必ず加入しなければなりません。
なお、パートやアルバイトであっても、一定の要件を満たす場合は健康保険と厚生年金に加入する必要があります。
実際には社会保険に入っていない会社を見かけることがありますが、加入義務があるのに入っていない場合、2年ほどさかのぼって本来払うべき社会保険を徴収されることもあります。
役員報酬を出すのであれば、入りましょう。
会社を作ったら原則として社会保険に入らなければならないのですが、例外もあります。
それは、「役員報酬の金額がゼロまたは極端に少なく、社会保険を給料から天引きできない」場合です。
設立1期目は売上げの見込みが少なく、自分への役員報酬を出さないケースもあるかと思います。
このような場合は、会社で社会保険に入ることができません。(入る義務はありません)
国民健康保険(または前の会社の社会保険の任意継続)と国民年金のままということになります。
また、役員報酬を出すとしても、その金額が極端に少ない場合は社会保険に入れないケースもあります。
2021年現在、東京都の場合は社会保険の従業員負担分の最低額は以下の金額です。
- 健康保険 2,854円
- 厚生年金 8,052円
合計で10,906円ですが、役員報酬の額面がこれ以上ないと手取り額がマイナスになってしまいます。
手取り額が0またはマイナスの場合には社会保険に入れません。
ひとり社長の場合、「社会保険の自己負担(天引き)分+社会保険の会社負担分」が実質的な自己負担となります。
これを考慮して役員報酬を出すか出さないか、出すとすればいくらにするかを決めましょう。
なお、社会保険は「会社を作ると入らないといけない」といったネガティブなイメージですが、給料の金額によっては国民健康保険や国民年金よりも安くなる場合もあります。
社会保険を安く抑えるために、フリーランスの方が早めに法人化するのも考えようによってはありです。
ひとり社長に必要な社会保険の手続き
話が少し逸れましたが、それではひとり社長に必要な社会保険の手続きについて見ていきたいと思います。
事業所の新規適用
まずは「会社として社会保険に加入します」という手続きをします。
具体的には、健康保険・厚生年金保険 新規適用届という書類を加入の日から5日以内に事務センターまたは会社の所在地の管轄の年金事務所へ提出します。
郵送、窓口持参、電子申請に対応しています。
この記事を書いている現在、電子申請の場合はWindowsのみ、かつ法人の電子証明書が必要です。
なお、代表者本人のマイナンバーカードは電子証明書として使えません。(この辺りは税金関係の方が進んでいるなと)
商業登記電子証明書はそれなりのお金がかかります。(証明期間により1,300〜9,300円)
他で使う機会がなければ、取るのはちょっともったいないかと思います。
現状は紙で郵送提出が現実的です。
会社を作り、実際に役員報酬を出す月の月初に提出することになります。
添付書類として会社の謄本が必要です。
法務局または登記ねっとで取っておきましょう。
合わせて口座振替の書類も提出しておけば、社会保険料を会社の口座から引き落としにできます。
健康保険・厚生年金保険 保険料関係届書・申請書一覧|日本年金機構
ただし、ネット専業銀行は引き落とし口座として使えません。(ゆうちょ銀行は可)
引き落としにできない場合は、ペイジーで払いましょう。
書類の具体的な書き方はこちらで解説しています。
被保険者資格取得
事業所の加入手続きとは別に、社長本人の加入手続きも必要です。
健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届/厚生年金保険70歳以上被用者該当届(エクセル 146KB)
こちらの書類を上記の「新規適用届」と同時に提出します。
こちらも窓口・郵送・電子申請に対応していますが、残念ながらMacでは電子申請できません。
Parallels DesktopのWindowsでやろうとしたのですが、途中でアプリがエラーになってできませんでしたので、結局紙で出すことに…。
純粋なWindowsPCをお使いの場合は電子申請に挑戦してみても良いかもしれません。
提出先は事務センターまたは管轄の年金事務所です。
ちなみに、直近で病院にかかる予定があり、早めに保険証が必要というケースもあるでしょう。
手続きをしてから保険証が発行されるまでには2週間前後かかります。
その間に病院にかかるときのために、「資格証明書」という書類を発行してもらうこともできます。
健康保険被保険者資格取得後、早急に保険医療機関等で診療等を受けようとするとき|日本年金機構
もし病院にかかる予定があれば、こちらも一緒に提出しておきましょう。
注意点は、こちらの資格証明書も発行してもらう場合、提出先は事務センターではなく年金事務所になるということです。
「新規適用届」と合わせて年金事務所に送るのがスムーズかと思います。
資格証明書は基本的に当日発行ですが、郵送だとタイムラグがあります。
どうしても急ぎであれば、窓口に持参した方が早く発行してもらえます。
なお、健康保険については「協会けんぽ」ではなく健康保険組合に入るという手もあります。
こちらは業種が限られますが、もし入れる業種の健康保険組合があれば、そちらに加入した方が保険料が安くすむケースが多いです。
ご自身の業種の組合がないか一度探してみましょう。
被保険者資格取得届の具体的な提出方法はこちら
国民健康保険の脱退
最後に忘れがちなのが、国民健康保険の脱退手続きです。
国民年金は会社の厚生年金に加入することで自動的に脱退となりますが、国民健康保険は別途自分で手続きが必要です。(マイナンバーもあることですし、年金事務所経由でやってくれれば良いのですが…)
こちらは各市区町村が管轄ですので、ご自身がお住まいの市区町村のホームページで確認してみてください。
なお、手続きには会社の新しい健康保険証のコピーが必要になりますので、会社の保険証が届いてから手続きすることになります。
市区町村にもよりますが、郵送でも手続きできるところが多いはずです。
国保の脱退手続きについて、詳しくはこちらに書いています。
サービスメニュー
Postscript執筆後記
今日は自分の社会保険の手続き、Dropboxの設定などを。電子申請をするつもりでわざわざGビズIDを取りましたが、結局できずにがっかりです…